ぶらり旅1111B(箱根・彫刻の森美術館)
箱根強羅での会合2日目は朝食後に話し合った結果、ほとんどの参加者は今回宿泊した宿が大層気に入り、次回も5月下旬にもう一度同じ場所で会おうということになりました。次年度幹事はクジ引きの結果、私はその一員になってしまいました。8:50 太陽山荘を出発、緩やかな坂をゆっくり下りて9:01 強羅駅に到着、皆さんと来年の再会を約し別れましました。私は1駅歩き、彫刻の森美術館を散策することにしました。線路沿いの平坦な道を歩き、9:19 彫刻の森美術館前に到着しました。シニア割引の適用を受け、チケットを買い入場しました。入るとすぐにエスカレーターで下り、ブロンズ彫刻が目に留まりました。上半身が裸の若い女性でその下に羽があり下半身はカモシカのようです。作品への詳しい説明がないのが残念でした。ブロンズ彫刻は、彫刻家が「原型」という、もとになる形をつくり、そこから型をとってブロンズという金属にします。このため、ブロンズの彫刻は絵画とは違い、彫刻家が決めた数だけ作品をつくれるそうです。地下道をくぐり抜けると眼前に緑豊かな野外美術館が展開しました。1969年に開館、近・現代を代表する彫刻家の名作約120点が常設展示され世界有数のコレクションを誇るピカソ館をはじめとする5つの室内展示場と四季折々の花が咲く70,000m2の庭園があります。「とらわれのアクション」(アリスティド・マイヨール作)というブロンズ像がまず最初、目に飛び込んできました。画家として活躍していたマイヨールが40代になってから彫刻したもので顔は男性的だが豊満な女性の裸身は錆止めのワックスが施され光り輝いて、そのボリュームは見る者を圧倒していました。近くには白い強化プラスチック製の「樹人」(岡本太郎作)や「弓を引くヘラクレス-大」(エミール=アントワーヌ・ブールデル作)のブロンズ像は力強い躍動感を示していました。少し離れた所にはこれらの力強く古典的な像とは対照的な足と首が細く長いツイギー風近代女性のブロンズ像がありました。アートホールに入ると「オクテトラ」(イサム・ノグチ作)を中心に建築家のみかんぐみがデザインしたという子供達の“あそび”のエリア「ごろごろ コロン ~彫刻となかよし~」が設置されていましたが日曜日にもかかわらず子供達の姿は見かけませんでした。アートホールを出ると人間の首の部分だけ横にゴロリンさせたものや少し離れた芝生にはサイに似た珍獣の像が置かれ「人とペガサス」(カール・ミレス作)の像が頭上にありました。円形広場から坂道を下っていくとギリシャ彫刻風の戦士像が並んでいました。男女の戦士は中世のヨーロッパや日本の戦士が甲冑で身を固めているのに対しより機敏性を重んじているためか上半身は裸で逞しく迫力がありました。さらに下りてゆくと右手の芝生にはハワイに昔住んでいた人々を思わす太っちょでおおらかな男女像と後方に近代のオブジェが並んでいました。左手には色づいた紅葉をバックに肩越しに寄り添う裸の男女像やツイギー風少女像、裸の少女像、帽子を被った少年像… が並んでいました。左手に下りてゆく道を行くと池があり、鮮やかなオレンジの「浮かぶ彫刻 3」(マルタ・パン作)が幻想的な雰囲気を出していました。吊り橋があり、裸の女性の立像・足を上げた座像、裸の少女像がありました。再び元の道に戻ると丘側に「球体をもった球体」(アルナルド・ポモドーロ作)「16本の回転する曲がった棒」(伊藤隆道作)… が見えました。やがて外観が積み木を横に組んだようなネットの森に着きました。近くにドンキホーテに登場してきそうな男性像立っていて、側にあった鉄板をいろいろ加工して独特の像を造る作家の展示場を見学しました。ネットの森の中はどうでもよくなり、入りませんでした。やがてこの美術館が一番力を注いだと思われるピカソ館に到着しました。この館にはピカソの長女、マヤ・ピカソから購入した陶芸作品を中心に、絵画や版画、彫刻、金のオブジェなど300余点を所蔵しているそうです。ピカソが65歳になってから南フランスの陶房で始めた陶芸作品はユーモアが感じられ、明るく楽しさに溢れた作品が多く、心が和みました。ピカソが70歳の時、26歳のジャクリーヌと出会いその後生涯を共にしますがこの晩年の満ち足りた生活の様子はデイヴィッド・ダグラス・ダンカンにより写真に納められていて、大きく引き延ばして展示されていました。近くには「歩く花」(フェレナン・レジェ作)、ヘンリー・ムーアの作品、裸の女性のブロンズ像… が各所に置かれていました。薄緑色で円形のティアラとウェディングヴェールをモチーフにした施設、近現代の彫刻作品を納めた緑陰ギャラリー、土産店… がありました。緑陰ギャラリー前には芝生があり、大きな帽子を被った裸の女性像が置かれ、その向こうに「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」という円柱状の建物があり、ステンドグラスで囲まれたラセン階段を登り、上からの眺望を楽しみました。近くには温泉足湯があり、白い人間の首の像が横向きに置かれていました。緑陰ギャラリー前から緩やかな坂を登り円形広場に向かって行くとひとつの生物が他の生物のそばにいる時の、両者の優しい関係を示すという「ふたつの形」(バーバラ・ヘップワース作)と高さが5mの巨大像「ミス・ブラック・パワー」(ニキ・ド・サン・ファール作)が現れました。その他に「ファミリー・グループ」(ヘンリームーア作)、下着を脱ぐ女性像、「ボクシングをする二匹のうさぎ」(バリー・フラナガン作)… を見ながら園内を一周し本館ギャラリーで「しろきもりへ」(山本基作)を見ました。 様々な彫刻を見ましたが個々の作品の解説が少なく、ホームページによると音声ガイドを貸し出しているそうで、今度来た時はこれを借りたいと思いました。11:12 美術館を後にし、11:23 彫刻の森美術館駅より箱根登山列車に乗りました。