青焼きの確認が済むと、いよいよ印刷 → 製本という流れを経て本が出来上がるのですが、その本をどのように広告するかということについては、この段階になってから考えるのでは遅く、本を企画したときから ある程度考えておかなくてはなりません。
ごく一部の出版社では広告 (宣伝) 部のようなものが別にあるところもありますが、多くの出版社では、担当の編集者が広告作りから広告媒体・方法の選定、広告会社への掲載依頼までをしなくてはなりません。 編集者は本を作るだけが仕事ではないのです。
一般に、本を広告するために使われる媒体としては次のようなものがあります。
1. 新聞
2. 業界新聞 (専門新聞)
3. 雑誌
4. 専門雑誌
5. 中吊り広告
6. ダイレクトメール
7. 自社のホームページ
この中で1 ~ 5については、広告会社を通して各媒体への広告掲載をお願いすることになるのですが、一般に、本が発売される1 ~ 1.5ヶ月ぐらい前には広告を作成して広告会社へ渡しておかなくてはいけません。 なぜそんなに前から広告を作成しておかなくてはいけないのかというと、雑誌を例にすると、これは当り前のことですが、その雑誌自体も印刷にかけなくてはならないために、例えば5月号の広告は3月中旬までなどというように前倒しで締め切りが設定されているのです。
したがって、本が印刷にかかって自分の手が空いてから広告会社にお願いしようなどとのんびり構えていると、その広告が雑誌に載るのは1ヶ月、2ヶ月も先になってしまって、本が発売されて書店に並ぶタイミングと全く合わなくなってしまうのです。ということもあって、広告会社を通して広告を行なうときには、かなり早い段階から広告を準備しておかなくてはなりません。
一方、6の場合は、愛読者カードなどで以前に読者登録のあった人たちへ新刊案内を送付するということが一般的ですから、上のケースとは違って、自分のところで、広告を流す日程をコントロールできることになります。また7の場合には、自社のホームページへ新刊案内を掲載するということですから、より迅速に対応することができることは言うまでもありません。
これはどんな商品についても言えることだと思いますが、限られた予算の中で、その本 (商品) にベストな広告媒体を決めるのは本当に悩む作業です。どの媒体を使うか、その媒体選定に際しての私なりの細かな基準をここに記すことは控えさせて頂きますが、 “その本の最大の読者層が一番目にする広告媒体は何か” ということを考えることが大切です。
また、広告媒体の選定とともに大切なのが、いかに魅力的な広告を作成するかということです。新聞や雑誌を見て頂ければわかりますが、本の広告が載る場所というのはだいたい決まっていて、他社の広告と並んで配置されます。したがって、多くの広告の中で、読者に少しでも印象に残るような (わかりやすく、インパクトを与えられるような) ものにするように工夫することが必要となります。
以上、ざっと広告について記したのですが、ここに記したことは初歩の初歩ともいうべきものです。上の1 ~ 7について個々に記すとなると膨大な内容になってしまいますし、また広告を作る過程などについても触れたかったのですが、ここではごくごく簡単な内容に留めさせて頂きました。