今週は、いま進めている本のうち、2冊の書名を決めなくてはいけない (最終決定ということではなく、候補を絞り込む) ということで、アレコレと頭を悩ませています。
本のタイトル (書名) について考えるときには、その本の内容のことはもちろんですが、どんな人たちが、どんなシーンで (どんなふうに) 読むだろうかと、読者の人たちが本を手にして読んでいる様子まで想像したりします。
編集者たちがアレコレと考えて付けてきた1冊1冊のタイトルを過去に遡って眺めてみると、本のタイトルも時代を映す鏡の一つであることに気が付きます。 例えば、 いま刊行が相次いでいる電子書籍関連の本のタイトルをこれから数年後に眺めてみると、 「この年に電子書籍が人々の間に広がり始めたんだなぁ~」 ということが掴めるように思います。
つまり、過去に刊行された本のタイトルを各年代ごとでスライスしてみると、そこから、その時代に旬であったテーマ (その時代のキーワード) が見えてくるように思います。 また、本のタイトルの付け方の変化 (いまとなっては既に当たり前のようになっていますが、タイトルが文章のように長いものが流行り始めた時代など) も見えてきたり ・・・。
これとは少し異なる視点かもしれませんが、皆さんも、自分の本棚や床に積み重なった本のタイトルを眺めてみると、その頃に自分が関心を持っていたことや、「そう言えば、この頃はこんなことがテレビや新聞で話題になっていたなぁ~」 なんてことを思い出すのではないかと思います。
編集者にとっては、過去に刊行された本のタイトルは、まるで宝箱のようなものです。 うまい付け方を見つけて、 その言葉の使い方に学ばされることもありますし、 逆に、 「これはこうした方がよかったのでは?」 なんて感じに、自分なりの考えを引き出すきっかけにもなったりします。
「時代を映す鏡」 と呼ばれるものは他にもいろいろとありますが、本のタイトルもその一つと言えるのではないかと思います。