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2009年05月17日
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経路不明のインフル発生確認で、関西では大騒ぎだったでしょうが、こっちは休みで横浜に来ちゃってるからね、多少後ろめたくはあるけど、同僚たちの「祭り」には関係なく、休日を楽しませていただきました。はっはっは。



そんなわけで、自由が丘で散髪し、ラーメンの昼ごはんを食べた後、出かけた先は横浜・相鉄ムービル。

うかつでしたが、昔々、中学生、高校生だった時に「復活の日」だの「地獄の黙示録」だのを私が見た当時から、ムービルの場所はとっくに変わっていて(かつてムービルだった場所に今はシェラトンホテルがあるわけだな、そういえば)、現在のムービルは地上を歩かないとたどりつけない、横浜駅西口の外れの方に追いやられていたのでした。
考えてみれば、確かに何十年も横浜で映画なんかみることはなかったんだからなあ。



私にとっては初の移転後ムービルでしたが、ビル自体が既に相当くたびれてる風。
最近流行の、薄っぺらなくせに妙にぺかぺかのシネコンに比べると、(私にとっては「新しい」はずなのに)ややうらぶれた雰囲気が立ち込めていて、ちょっと複雑な心境……。


場所を間違えたせいで、上映開始ぎりぎりに飛び込んだのに、いまどきのシネコンにはもうありえないほど広い劇場内(たぶん200席以上はあるな、あれは)には、数えるほどしか人が入っていませんでした。

そうそう、最近のシネコンなら、どんなに空いてても「指定席」で、券を買う時にヘッドセットつけた窓口のおねいちゃんにごちゃごちゃ言われて面倒なのですが、ムービルは全席自由。もぎりのオバサンがいるだけで、売店すらありませんでした……。
なんか、捨て鉢?? でも、純粋に映画を見るだけなんだから、ある意味これってすがすがしいよ。



で、鑑賞したのが「グラン・トリノ」。


なにしろ、元は「ハリー・キャラハン」だからな~、代表作って「マディソン郡の橋」だろ~、けっと思ってた私が、監督としてのイーストウッド氏を見直したのは、「ミスティック・リバー」あたりだったかな。
「ミリオンダラー・ベイビー」は、多少あざとかったけど、上手だよね、と職人芸的な手だれぶりに感心しました。


でも「グラン・トリノ」は、もう小ざかしくコメントなど述べる気もしないほど、良かったです。偏屈なまま年老いた朝鮮戦争の元「勇士」、フォードの誇りある組立工、そんな老人が今を生きるアメリカの現状が過不足なく描かれています。
アメリカといっても、例えばニューヨークなどはごく特殊なのであり、この映画の舞台となっているような「中西部」あたりの一般的な市民というのは、普通に偏見に満ち、愚かであったりして、それでも信じる「良識」があり、その総体がアメリカ合衆国という存在感を作り出しているんだと思う。
「正しい」ことが何なのか、答なんかありはしない。それでも、人は、誇りを持って生と死を選び取りたいんだ、という監督のまなざしに、胸の奥がじわりと動きました。


年をとり、死が近づくこと。それは、一般にはネガティブにとらえられる訳ですが(私だって、自分はともかく、両親が老いてきたことを「うれしい」とは到底思えない)、こうして、老いて、生と死をふかく理解していくということは、素晴らしいことであり、人間ってそういうところに達するために、達して死んでいくために、もがきながら、失敗しながら、死ぬそのときまでの日々を生きていくんだなあ、などと思いました。


もうそろそろ上映終了でしょう。まだご覧になっていない方は、ぜひ!
久しぶりに1800円払っても値打ちあるな、と思える映画でした。
ただ、コワッパには無理かな。大人のみなさんには、強く推奨します。





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最終更新日  2009年05月17日 10時51分12秒
コメント(10) | コメントを書く
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 Re:グラン・トリノ(05/17)   旅する絵描きマツモトヨーコ さん
私もグラン・トリノは見るつもりです。これとスラムドッグ...はレディースデーに見てから出発するつもりやけど、もしかして飛行機でどっちかやってくれへんかな~と期待してます。
しかし、大阪、神戸などでじわじわとインフルエンザが出て来たので、このまま増えると、こっちが逆にインフルエンザの運び屋になりかねない可能性もあり、船にのらんでええ、といわれるんちゃうかと恐れてます。 (2009年05月17日 12時28分32秒)

 Re[1]:グラン・トリノ(05/17)   ぱよとぽよ さん
旅する絵描きマツモトヨーコさん

スラムドッグは、公開直前の試写に滑り込んで観ましたが、グラン・トリノの方が値打ちあると思います。悪くないけど、やっぱり「イギリス人が作ってみたインド映画」という煮え切らなさがあるんだよなあ。観終わった後、いつまでも響き続けるなにか、という点では、弱いなと私は思いました。6月公開のミッキー・ロークの「レスラー」もすごいよ。アカデミー主演男優賞、もう1回とってるショーン・ペンではなく、ロークにやってくれればよかったのに……と、うちの映画担当としみじみ嘆きあいました。すさまじいから~。

しかし、なんでインフルエンザ、「関西」なんだろうねえ。トホホ。感染力はすごいみたいだから、遠からず首都圏にも飛び火するんでしょうが。私も今回、新幹線にて運び屋をやってしまったのかも(自覚症状も何もないけどさ)。はは。 (2009年05月17日 13時35分45秒)

 Re:グラン・トリノ(05/17)   たまよみ(きょうの、一食。) さん
グラン・トリノ、観たい、観ておきたいです。
最近,若い監督の感性についていくよりは、人生の先輩監督に導かれたい気持ちです。
私のは単に風邪とは思っても当然、電車に乗るときはマスク。今時めずらしいガーゼ素材って意味あるのかなと思いつつ、、。 (2009年05月17日 14時03分00秒)

 Re[1]:グラン・トリノ(05/17)   ぱよとぽよ さん
たまよみ(きょうの、一食。)さん

若い感性の新鮮さも捨てがたいのでしょうけど、やはり「叡智」という形容にふさわしい、先達たちの年輪が生み出す滋味深い世界観が、生きることに迷う時にはしみわたる栄養になるように思います。

昨日の横浜は、マスクしている人はほとんどいなくて、盛り場に出て行く必要条件の記号?としてマスクしてた私は悪目立ちしてたような感じでした。
(2009年05月17日 14時52分08秒)

 Re:グラン・トリノ(05/17)   クーン43 さん
お久しぶりです。
引っ越しの準備と後始末で世間から離れていましたが、そろそろ社会復帰して映画を見にいかなければ。。。 グラン・トリノ いいですね~~。新しい土地でまだどこに映画館があるかわかりませんが(今はシネコンとかムービルとかいうのかな?)探してみてきます。

関西で次々と感染者がでてますね~~。自覚がなくても感染している人がいるんでしょうねぇ。

(2009年05月17日 15時38分07秒)

 Re:グラン・トリノ(05/17)   野鳥大好き さん
わたし、こわっぱだしーい、と書くと無理あるか?(くすっ。) (2009年05月17日 17時35分45秒)

 Re[1]:グラン・トリノ(05/17)   ぱよとぽよ さん
クーン43さん

お引っ越しの後は、なかなかおちつかないと思いますが、気分転換にぜひどうぞ!
「ムービル」は横浜ローカルですww まあ、あんな古ぼけた劇場でなく、こぎれいなシネコンでもやってると思います。一応、アカデミー監督の作品ですし。

今のインフルは弱毒性なのですが、スペイン風邪もウイルス自体は弱毒性だったのに、次第に死亡率が上がったので、やはり油断は出来ず、脅威が高まっていると理解すべきだと思います……こわいなあ、明日はそのただなかに戻ってゆかなくちゃならないなんて。 (2009年05月17日 23時21分52秒)

 Re[1]:グラン・トリノ(05/17)   ぱよとぽよ さん
野鳥大好きさん

へっへっへ。それを言うなら、私だって、堂々たるこわっぱさ~ww
ね、でも、きっとしみじみするから、ハイジの気分転換にもおすすめの映画です♪
(2009年05月17日 23時22分58秒)

 Re:グラン・トリノ   港のともこ さん
今、なんばで見てきました~!
途中はクスクス笑いながら見てましたが、最後は涙が止まりませんでした(ToT)
久々に「いい映画を見たな~」としみじみ感じております。
そして、鑑賞後に改めてぽよさんの映画評を拝読して「ふ、深い…」と感嘆しております。
確かに、お子ちゃまにはわからないだろうなあ。うまく言葉にできないけど、あの映画の余韻を、いつまでも反芻して味わいたい、と思う私は「大人」のはしっこに混ぜてもらえるでしょうか~?
とってもいい映画を教えてくださって、ありがとうございました!
(2009年05月20日 21時41分30秒)

 Re[1]:グラン・トリノ(05/17)   ぱよとぽよ さん
港のともこさん

ああ、良かったでしょ~~~!!!
「衆愚」の現実に吐き気が襲ってくるこのごろではあるけれど、ああいう映画を見ると、やっぱり民主主義という手法にもう少しだけ期待を繋いでみようか、と思わせてもらいます。少なくとも、ああいう映画が撮られるということは、ああいう理想を共有する人がそれなりには存在しているはずなんだし、それはとっても勇気づけられます。
私たち、コワッパをちょっと過ぎた立場の者は、照れず、面倒がらず、青臭く理想を夢見て語るべきなのかな、と思います。その有力な表現手段が映画なのかも。イーストウッド監督、もっともっと現役を続けて頑張って欲しいと心底思いました。 (2009年05月21日 00時03分46秒)

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