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カテゴリ:茶木の音楽紀行
150円の切符を買って下関方面行きの各駅停車に乗り込んで、「駅員が来たら、僕
たちは気楽な旅をしていて、気ままに降りた駅で清算するつもりですと言うんですよ !」と柴田は言って、小さい声で練習までした。 僕はなんだか気が気ではなかったが、下関まで駅員は現れなかった。 そこで別の各駅停車に乗り換えて東へと進んだ。 柴田は分厚い時刻表をとても手際良くページをあれこれと繰っていろんな電車を調べ ていた。 「さすが旅慣れているなー」と僕は感心してそれを見ていた。 そこに一人の若い女の子が乗り込んで来て、通路を挟んだ隣の四人席に座った。 僕は最初気にも留めなかったが、そのうちなんだか少し気になり出した。 彼女はどう見ても高校生ぐらい、スポーツバッグ一つにいやに短いスカート、時間は 夜の12時過ぎ、おまけに窓の外を見ながらしくしく泣いているようだった。 柴田も気になるのか、ちらちらそちらを見ていたが「ねーチョコレートあるけど食べ ない?」と明るい大きな声で呼びかけた。 なんと勇気のある行動! 彼女はちらりとこちらを見たが、無視してまた窓の外に目をやった。 車内はほとんど誰も乗っていず閑散としていてがらんとした車内にガタンゴトンとい う音がとても大きく響いていた。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.11.21 10:47:07
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