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カテゴリ:茶木の音楽紀行
おじいさんがいなくなると僕たちはまた3人で黙り込んで其々がおじいさんの人生を
思った。 少しして僕が「名前を尋ねるのも忘れたなー」と呟くと「大三郎って感じ」と柴田が 呟き、僕とプー子はまた吹き出した。 それから僕たちは眠った。 目覚めてから電車を乗り換え、しばらくするとついに大阪駅に着いた。 全部で28時間の旅だった。 僕たちは問題の改札口に行き、駅員の前に立った。 「はい、どうされましたか?」と中年の駅員が尋ねた。 僕たちは横に黙って立っているプー子の顔をちらりと見た。 「新大阪から乗ったのだが、切符を落としてしまった」と言うつもりだったが、何も 言えなくなってしまった。 結局正直に全部説明し、後日全額払いに来るという事になった。 駅員は文句を言うかと思ったが、黙って用紙を持って来て、「ここに住所と名前、電 話番号を書いて下さい」と面白なさそうに説明した。 僕たちは阪急梅田駅まで行き、かっこ悪いことにプー子に電車賃を借りて切符を買い 改札を入った。 「借りているお金を返したいから電話番号を教えてよ!」と柴田が言った。 なにしろ二人は一文無しで、電車で食べた駅弁も彼女に出してもらっていたのだ。 「また何処かでひょっこり出会った時でいいわ」と彼女は言った。 「元気で頑張れよ!」と僕が言い、「ありがとう!私も私の青春の日々を探すわ!」 とにっこりした。 「それってちょっとキメすぎてない?」と柴田が言い、3人で笑った。 我々は「じゃー!」と手を上げ、プー子は宝塚方面、柴田は神戸方面、僕は京都方面 其々のホームへと分かれて歩き出した。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.12.06 10:35:01
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