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カテゴリ:茶木の音楽紀行
日曜日に家にいると直子さんから電話があり、「マルガレーテが古くなったテレビを
くれると言っているんだけどどうする」と言って来てくれた。 僕は一瞬考えた。 マルガレーテと言えば年は僕より10歳ぐらい上で、とても変わった女性であり、レ ッスンを受けている姿を見ていると、精神的に少し普通ではない所が見受けられる人 だった。 まず歌う際ものすごく興奮して、叫ぶというのに近い歌い方で先生の言っている事な どほとんど何も聞いていない、そして自分が納得するまで席に戻ろうとはしないで皆 の前に立ち続けていて、彼女の番の時は先生も困り果てていた。 普段もにこりともしないでいつも眉間に皴を寄せて誰とも話しをしなかった。 一度授業の後車に乗せてくれた事があるが、すごく不機嫌な顔で聞き取れないぐらい の早口で「私はケルンまで行くけど乗って行くか」と尋ねられ、思わず「ディーリン グハウゼンの駅でいい」と言ってしまい「どうしてよ、トシはケルンに住んでいるん でしょ、私もケルンだから乗って行けばいいじゃない」と言われたが、それでも駅で 降りたことがある。 出来ればあまり近づきたくない人だと思っていたし、クワストフも「ありゃー恐ろし いい女だ」と言っていた。 ここで先に述べておくが、人との出会い、相性とは不思議なもので、彼女は後に僕の ドイツ生活の中で最も仲の良い、ドイツを去って10年近く経つ今でも付き合いのあ る良い友人となる。 そういう訳でその時は彼女にテレビを貰うのもちょっと考えた訳だが、親切に言って くれているので有り難く戴くことにした。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.01.21 09:15:52
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