テーマ:シェフのスペシャリテ(240)
カテゴリ:シェフの雑記帳
まずは前菜。手前左が、マンガリッツァ豚を使ったシェフの手作り生ベーコン、下には水茄子のサラダを忍ばせてある。右側が、ラルド・イン・コンカ・コロンナータと自家製のドライトマト。コロンナータのラルドは、イタリアの至宝ともいわれる豚の背脂の生ハム。「脂の生ハム?」と、思うかもしれないが、これ、実は下手なフォアグラより高い。 トスカーナ州のコロンナータ村には良質な大理石が取れる山があり、かのミケランジェロも彫刻の素材として使っていたという。そのコロンナータの真っ白な大理石を削りだして作った、棺桶というか浴槽のような形の熟成槽に豚の背脂とハーブやスパイスと塩で漬けこまれて一年半以上熟成させて作られるのが、このラルド。これを自家製のドライトマトと合わせて食べて、シェリーの辛口“マンサリーニャ・パサダ・デ・サンルカール”を合わせると、もう最高のマリアージュ! オーストラリア産のグリーンリップあわびのロースト、肝のソース。あわびの身はもっちり、肝のソースは、あわびの肝とひもを小さめに刻み、シェリーヴィネガーと自家製ポン酢とバターで仕上げたもの。あわびの美味しさを全部味わっていただく。 トマトとときめき鶏の冷製ゆるゆるゼリーコンソメ、このコンソメの主材料はトマト!完璧に透明で琥珀色の液体なのに、目をつぶって飲むとまるでトマトジュースか!というちょっとトリッキーな料理。カップ一杯に大きなトマト一個分くらいの味が入っている。たくさんのトマトと 皮をとってひき肉にしたときめき鶏に玉ねぎやニンジンなどの野菜を少し入れて、卵白の力であくをとり澄んだスープに仕上げる。鶏肉のコラーゲンの作用でゆるゆるなゼリーコンソメになる。これ、美味いです! マンガリッツァ豚の背肉の低温長時間ロースト、一口フォアグラ添え。これは2時間半ほどかけて焼き上げたもの。カリッと焼けた脂身が薄くついているが、この脂身、最初は4センチくらいあるのだ。それをゆっくり焼き落とす。脂身だけを焼くのに合計1時間以上。赤身側のほうは、オーブンに3分ほど入れて、出したら温かいところで7~8分休ませるということを繰り返して、スイッチバック的にゆっくり火を入れてゆくわけ。言わば、肉の温泉卵という感じ。つまり、火は通っているが固まっていないという状態がベストなんですね。 デザートは、6月7月に続いて、テーマはトンカ豆!トンカ豆とヴァニラのクレームブリュレとトンカ豆風味のチョコレートのソルベにフィナンシェを添えてみました。このデザートに合わせて、また さかもとこーひーのさかもとさんにこーひーをお願いしました。 使った豆は、ボリビアCOENWカフェスマ、エルサルバドル・シャングリラ、コロンビア・ロスイドロス、ということです。豆の配合はともかく、これがまた尋常ではないくらいよく合うんですね。まず、コーヒー単体で味わうと、とにかくきれいで穏やかなんですが、このコーヒーにはトンカ豆の香りのもっともコアになる香りの芯のようなフレーバーがすでにあるんです。口に含んでしばらく経つとはっきりトンカ豆と共通するフレーバーが感じられます。 このこーひーを飲みながら、食べるクレーム・ブリュレやチョコレートのソルベ!美味すぎる!笑うしかないです! さかもとさん、いい仕事しますね。さすがです。 レストランでスペシャリティーコーヒーとデザートのマリアージュを楽しむというようなことをやっている店はあまりないでしょう。というか、ほとんど聞いたことがないです。世界でもまれな試み。 だって、このデザートにはこのこーひーが合いますよ、なんていう店無いでしょ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 7, 2010 02:48:45 AM
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