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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.14
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 トニー・ブレア政権で首席補佐官を務めたアラステアー・キャンベルは国民投票について、議会制民主主義において危険な行為だと主張している。自分たちにとって都合の悪い民意を否定しているわけだ。

 キャンベルはイラクへの先制攻撃を正当化するために嘘を発信したとされる。2002年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルがつけられた報告書、通称「9月文書」を作成、その文書はメディアにリークされ、サン紙は「破滅から45分のイギリス人」というセンセーショナルなタイトルをつけて報じている。

 それに対し、BBCの記者だったアンドリュー・ギリガンは2003年5月、この文書ではイラクの大量破壊兵器の話が誇張されていると番組で伝え、サンデー・オン・メール紙ではキャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したと語っている。

 ギリガンが「45分話」を語って間もなく、彼の情報源が国防省で生物兵器を担当しているデイビッド・ケリーだということがリークされた。ケリーは7月15日に外務特別委員会へ呼び出され、17日に変死する。

 トニー・ブレア英首相は2002年3月、つまり「9月文書」が作成される半年前の時点でアメリカによるイラク侵攻に参加することを決めていたことが今ではわかっている。実際の攻撃が翌年の3月、つまりブレアが参戦を決めた1年後にずれ込んだのは、統合参謀本部の内部で開戦に反対する声が強かったからだ。彼らは大量破壊兵器の話に根拠がないことを知っていた上、作戦が無謀だと反対派は考えた。

 そうした中、統合参謀本部の作戦部長でイラク侵略に反対していたグレグ・ニューボルド将軍は2002年10月に作戦部長を辞めている。そのほかエリック・シンセキ陸軍参謀総長もアメリカ軍がイラクを先制攻撃する前に議会でラムズフェルド長官の戦略を批判し、アンソニー・ジニー元中央軍司令官、ポール・イートン少将、ジョン・バチステ少将、チャールズ・スワンナック少将、ジョン・リッグス少将も後にラムズフェルド長官を批判している。

 アメリカでは2002年の半ば、ネオコン/シオニストのポール・ウォルフォウィッツ国防副長官の発案で、自分たちのプランを正当化する情報を集め、宣伝を展開する目的で国防総省内にOSP(特別計画室)を設置した。メンバーは4、5人。室長になったエイブラム・シュルスキーはシカゴ大学で政治科学の博士号をネオコンの思想的な柱とされているレオ・ストラウス教授の下で取得している。

 シュルスキーはシカゴ大学の前にコーネル大学で数学の学士号を取得しているが、そのときも、またシカゴ大学でもウォルフォウィッツと同室だった。ウォルフォウィッツもストラウスの下で博士号を取得している。

 ネオコンが台頭、デタント(緊張緩和)派が粛清されたジェラルド・フォード政権時代、ジョージ・H・W・ブッシュCIA長官の下でソ連脅威論を正当化するために情報を誇張、あるいは偽情報を発信していたチームBと基本的に同じことをしていた。そのチームBにウォルフォウィッツも参加している。

 ジョージ・W・ブッシュ政権で国務長官を務めたコリン・パウエルが2002年3月28日に書いたメモを見ると、ブレア首相はアメリカの軍事行動に加わると書かれている。このメモが書かれた1週間後に米英両国の首脳は会談した。おそらく、すぐにでもイラクを侵略しようと考えていたのだろう。

 しかし、2002年前半の時点では、アメリカの軍や情報機関にネオコンが進めようとしている侵略プランを止めてしまえる勢力が存在していた。それに対抗するため、好戦派は偽情報を外部に広め、侵略できる雰囲気を作りだそうとしたように見える。その好戦的な雰囲気作りに日本の政治家、官僚、学者、ジャーナリストは協力、そうした宣伝に異を唱える人びとに激しい攻撃を加えていた。

 2003年3月、ジョージ・W・ブッシュ政権は統合参謀本部の反対を押し切る形でイラクを先制攻撃、その2カ月後にギリガンは攻撃の口実にされた「9月文書」が改竄されていたと伝えたわけだ。そして情報源のデイビッド・ケリーが変死、ブレア首相はこの事件を調べるためにジェームズ・ハットン(ハットン卿)を委員長とする独立調査委員会を設置している。

 2004年1月にハットン委員会はBBCを批判する内容の報告書を発表、グレッグ・ダイク会長やギリガン記者はBBCから追放された。この後のBBCはアメリカの侵略戦争を正当化するための単なる宣伝機関になり、偽情報を公然と伝えるようになる。あまりにも嘘が多く、プロパガンダ機関としてもできが悪い。少しでも情報をウォッチしている人なら、誰も信用しなくなってしまったからだ。

 ジョン・チルコットを委員長とする独立調査委員会(チルコット委員会)が7月6日に発表した報告書で、フセインはイギリスにとって差し迫った脅威ではなく、戦争は不必要だったとしているが、それにもかかわらず、なぜ嘘をついてまで侵略したのかを明らかにしていない。そこが明らかになったなら、アメリカの好戦派は戦争を進めることができなくなり、アメリカを中心とした支配体制は大きく揺らぐことになるだろう。

 なお、2004年10月にジャック・ストロー英外相は「45分話」が嘘だということを認めている。現在では、ブレアを戦争犯罪人だと考える人が少なくない。当時の首相、小泉純一郎も共犯者ということになる。勿論、そうした好戦派に協力していた人びとも同罪。そうした人びとに支えられた安倍晋三政権は現在、戦争へ向かって暴走を続けている。





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最終更新日  2016.07.15 05:45:26



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