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《櫻井ジャーナル》

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2019.04.12
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 ロンドン警視庁の捜査官が4月11日にエクアドル大使館へ乗り込み、ジュリアン・アッサンジを逮捕した。アッサンジの弁護団メンバーによると、すでに取り下げられている事件で出頭しなかったことではなく、​アメリカからの引き渡し要請に基づくもの​だという。

 アッサンジが創設した内部告発支援グループのウィキリークスは2012年2月、民間情報会社ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メールを公表、その中には​2011年初めにアッサンジが秘密裏に起訴された​という情報が含まれていた。

 その後、この情報は公的な文書で確認される。ケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書の中で、​アッサンジが秘密裏に起訴されていると記載​されているのだ。

 ​本ブログでもすでに書いた​ことだが、ウィキリークスは4月4日、エクアドル政府高官からの情報として、同国のロンドン大使館から外へ出られない状態になっているアッサンジが数日以内に逮捕される可能性があると発表していた。その情報通りの展開だ。

 エクアドルではレニン・モレノが汚職で受け取ったカネのロンダリングを行うためにINA投資という名前のペーパーカンパニーを2012年にベリーズで作ったという話がリークされたのだが、その責任はウィキリークスにあるという理由でアッサンジの亡命を取り消したとモレノは主張している。

 それに対し、エクアドルに対する融資の条件としてアッサンジの亡命取り消しをIMFは要求、それにモレノは応じたのだとも伝えられている。IMFや世界銀行が米英支配層の意向に従って動くことは珍しくない。

 これまでメディアは内部からのリークを伝えるという形で権力犯罪を明らかにしてきた。ダニエル・エルズバーグが1971年に有力メディアへ流したベトナム戦争に関する国防総省の秘密報告書のケースはその一例。

 このリークはエルズバーグの上官が命令したものだとも言われている。その上官が関係している住民皆殺し作戦(フェニックス・プログラム)については伏せられていた。

 実際に報道された内容はリークされた文書から核心部分を削除したものだったが、それでもアメリカ国内の反戦運動を盛り上がらせた。その後、議会の調査で情報機関の秘密工作の一端が露見している。

 ウィキリークスが注目される切っ掛けはアメリカ主導軍によるイラクへの先制攻撃と占領の実態を明るみに出す情報の公開だろう。その情報を提供したのがブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵だ。

 マニングが提供した情報をウィキリークスは公表するが、中でも衝撃的だったものは、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃。その時にロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。この出来事は2007年7月にバグダッドであったのだが、銃撃の様子を撮影した映像をウィキリークスは2010年4月に公開した。

 ヘリコプターからは武装集団への攻撃であるかのように報告されているが、​映像​を見れば非武装のグループだということは明白。間違いで攻撃したとは考えられない。この映像は世界に大きな影響を及ぼした。その映像を伝えないメディアがあったとするならば、国民がアメリカに対して悪い印象を持つことを恐れたのだろう。

 こうしたアメリカ軍による犯罪的な行為を告発したマニングは2017年5月に釈放されたが、今年3月に再び収監された。アメリカの司法システムはウィキリークスに対する弾圧を正当化する証言をマニングにさせようとしたのだが、それを拒否したからだという。

 アッサンジの逮捕は、権力者にとって都合の悪い情報を明らかにすることは許さないという彼らの意思表示。大統領や首相というよな表面的な「権力者」はともかく、そうした人びとを操っている人びとに触れたり、支配システムの根幹を揺るがすような情報を明らかにすることは犯罪だという宣言だ。米英の支配層は一線を越えた。今回の逮捕は権力者と対決しているジャーナリストすべてに覆い被さってくる。






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最終更新日  2019.04.12 02:19:59



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