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《櫻井ジャーナル》

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2021.01.08
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 アメリカの上下両院合同議会は1月7日にジョー・バイデンが次期大統領になることを確認した。就任式は1月20日に開催される予定だが、この式に第39代大統領のジミー・カーターと妻のロザリンは欠席する。

 ジミーは96歳、ロザリンは93歳。ふたりとも年齢を考えると不思議ではないのだが、2017年1月に行われたドナルド・トランプの大統領就任式には出席している。招待に対し、折り返し出席の返事を出した唯一の元大統領だった。トランプの式ではクリントン夫妻だけでなく、トランプと同じ共和党のジョージ・W・ブッシュもしばらく検討の期間をおいてから出席を決めている。

 バイデンの周辺には戦争やカネの臭気が充満している。彼の移行チームには戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが深く関与、国務長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケン、国防長官にはレイセオン重役で元米中央軍司令官のロイド・オースチンが就任する予定。情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務め、「血まみれジーナ」とも呼ばれているジーナ・ハスペルCIA長官と親しいと言われている。国務次官はウクライナのクーデターでネオ・ナチを現場で指揮していたビクトリア・ヌランド。しかも「ミスター・モンサント」と呼ばれている元アイオワ州知事のトム・ビルサックが農務長官に指名された。

 偽情報でユーゴスラビアを悪魔であるかのようなイメージを作り上げた上で同国を先制攻撃したビル・クリントン、やはり偽情報を広めた上でイラクを先制攻撃し、中東で戦争を始めたジョージ・W・ブッシュ、ムスリム同胞団やワッハーブ派を戦闘員として使って戦乱を中東から北アフリカにかけての地域に広げ、ドローン(無人機)による暗殺を繰り返し、ウクライナではネオ・ナチを使ったクーデターで合法政権を倒したバラク・オバマ。

 ジミー・カーター政権ではオバマの師と言われているズビグネフ・ブレジンスキーが国家安全保障補佐官としてアフガニスタンで秘密工作を始め、殺戮と破壊を始めた。この工作でブレジンスキーが手先の戦闘員として使ったのがムスリム同胞団やワッハーブ派だ。

 カーターはデイビッド・ロックフェラーとズビグネフ・ブレジンスキーに目をつけられ、日米欧三極委員会に加わることになった人物だが、核兵器の拡散に反対していたほか、イスラエルへ完全には服従しようとしせず、国連安保理の242号決議に基づいてパレスチナ問題を解決しよう考えていた。

 1977年4月までイスラエルの首相を務めた労働党のイツハク・ラビンは包括的和平に賛成、PLOのアラファト議長も不公平であることは飲み込んで242号決議に基づく和平を実現したいと考えていたが、イスラエルで1977年に実施された選挙でリクード(軍事強硬派)が勝利、メナヘム・ベギンが首相に就任したことで計画は壊れた。

(Alan Hart, “Zionism Volume Three,” World Focus Publishing, 2005)

 パレスチナ人の権利も尊重しようとしたカーターはシオニストから激しく攻撃されることになる。そうした攻撃で重要な役割を果たしたひとりがマイケル・リディーンだ。1980年の大統領選挙でカーター大統領を中傷、攻撃する記事をアメリカのニューリパブリック、イギリスのナウ!、あるいはフランスのレクスプレスなど親イスラエル派のメディアに書いている。

 ナウ!とレクスプレスを所有していたのは、世界でも屈指の大富豪だと言われるジェームズ・ゴールドスミス卿。石油会社BRISA(ベイシック・リソーシズ・インターナショナルSA)」の会長としても知られていたが、この会社はIOR(宗教活動協会/通称バチカン銀行)の不正融資事件に絡んで倒産したアンブロシアーノ銀行と関係があった。

 リディーンはカーター大統領の弟、ビリーとPLOとの関係を問題にした。リビアから秘密裏に5万ドルを受け取り、PLOのヤシル・アラファト議長と会談したというのだ。ビリー・カーターは一連の記事を事実無根だと否定していたが、プロパガンダの影響は大きかった。

 リディーンへ情報を提供していたイタリアの情報機関SISMIはイラク攻撃の下地作りにも登場する。イラクがアフリカのニジェールからイエローケーキ(ウラン精鉱)を手に入れようとしているという偽情報を流し、すぐにでもイラクがアメリカを核攻撃するかのような幻影を描き出し、先制攻撃も止むなしという雰囲気を作り出す上で重要な役割を果たしたのだ。

 イタリアの週刊誌​パノラマの記者エリザベッタ・ブルバ​に電話が掛かり、電話の相手はサダム・フセインとアフリカでのウラン購入を結びつける情報が存在すると話した。その情報源は彼女が以前から知っている人物で、イタリアの情報機関と関係があると推測されていた。書類を受け取ると、パノラマの編集長カルロ・ロッセラはアメリカ大使館に持ち込むように指示。その書類はCIAローマ支局長を経由してワシントンに渡り、イラクを批判する材料として使われることになった。

 結局、カーターは再選されなかったが、その後も個人的に世界的な緊張緩和に努力、イスラエルの核兵器についても語っている。彼によるとイスラエルが保有する核兵器の数は150発だ。(BBC, May 26, 2008)

 なお、1986年10月にサンデー・タイムズ紙が掲載したモルデカイ・バヌヌの内部告発によると、イスラエルが保有している核弾頭の数は150から200発。水素爆弾をすでに保有、中性子爆弾の製造も始めていたという。中性子爆弾は実戦で使う準備ができていたとしている(使われた可能性がある)。

 イスラエルの軍情報機関ERD(対外関係局)に勤務、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると、イスラエルが保有する核兵器の数はふたりの示した数より多い。1981年に時点でイスラエルがサイロの中に保有していた原爆の数は300発以上で、水爆の実験にも成功していたという。(Seymour M. Hersh, "The Samson Option", Faber and Faber, 1991)

 言うまでもなく、バイデンはイスラエル、あるいはイスラエルを隠れ蓑に使っている私的権力に従属している。






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最終更新日  2021.01.08 14:15:46



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