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《櫻井ジャーナル》

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2022.06.12
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 ウクライナ大統領府で広報を担当している​オレクシイ・アレストビッチは2月24日から100日間にキエフ側の戦闘員が約1万人殺されたことを認めた​。その前、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリャックはBBCに対し、​ウクライナ軍の兵士はロシア軍/ドンバス軍との戦闘で毎日100名から200名が殺されている​と語っているが、これに合わせた形だ。アレストビッチはロシア軍はキエフ側の5倍から6倍が犠牲になっているとしているが、状況から考えて信憑性はない。アレストビッチ発言のダメージ・コントロールをしているつもりなのだろう。

 アレストビッチは西側諸国に対し、兵器を迅速に供給するように要求しているが、これはゼレンスキー大統領も同じ。5月31日に人権オンブズマンを解任されたリュドミラ・デニソワもより多くの兵器を西側が供給するようにロシア軍を悪魔化する偽情報、例えばレイプ話を流していた。

 偽情報は西側の有力メディアが喜ぶストーリーだと言える。アメリカの一部支配層や有力メディアはソ連が消滅した直後から旧ソ連圏に対する軍事介入を煽った。その際にもレイプ話が「報道」されたが、事実ではないことが判明している。

 そうした話の一例は、1992年8月にボスニアで16歳の女性3人がセルビア兵にレイプされたというもの。ニューズデーのロイ・ガットマンが報道したのだが、別のジャーナリスト、アレクサンドラ・スティグルマイアーやマーティン・レットマイアーらによってガットマンの話が嘘だとしている。

 その当時、ガットマンはドイツのボンで支局長。つまりバルカンに常駐しているわけではなく、現地を取材したわけではない。ヤドランカ・シゲリなる人物から得た情報をそのまま書いたのだが、この人物はクロアチアの民族主義の政党HDZ(クロアチア民主団)の副党首を務めていた。しかもクロアチアの亡命者が創設したプロパガンダ組織CIC(クロアチア情報センター)のザグレブ事務所の責任者でもあった。こうしたことをガットマンが知らなかったとは考えにくい。

 当時の状況について、ICRC(赤十字国際委員会)は全ての勢力が「不適切な行為」を行っていたとし、セルビア人による組織的なレイプが行われた証拠はない(Diana Johnstone, "Fools' Crusade," Monthly Review Press, 2002)のだが、シゲリは西側で人権問題のヒロインとなり、1996年にはジョージ・ソロスをスポンサーとする「人権擁護団体」のHRWが彼女を主役にしたドキュメント映画を発表、レイプ報道で脚光を浴びたガットマンはピューリッツァー賞を贈られている。

 キエフ側はフランスから供与されたカエサル155mm自走榴弾砲でドンバス(ドネツクとルガンスク)の住民を6月6日から攻撃しているが、アメリカはHIMARS(高機動ロケット砲システム)を、またイギリスはM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)を今後、引き渡すとしている。両国はそれぞれの射程距離を約80キロメートルだとしているが、最大射程距離は約300キロメートルだ。

 当初、アメリカ/NATOはウクライナへ持ち込む兵器をウクライナの西端、ポーランドとの国境近くにあるヤボリウ基地で一旦、保管していた。​この基地では携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」などを使った軍事訓練が行われているとロイターは2月4日に伝えている​。ロシア軍の戦車部隊が侵攻することを想定しての訓練だとしていた。

 ​その基地をロシア軍は3月13日に巡航ミサイルで攻​撃したが、12日にはアメリカに対し、西側から運ばれてくる兵器は攻撃の対象になるとロシア政府は強く警告していた。

 攻撃後、ニューヨーク・タイムズ紙はヤボリウ基地がウクライナ軍と西側の軍隊とを結びつける場所で、​重要な兵站基地であると同時に外国から来た戦闘員を訓練するセンター​でもあるとしている。

 この攻撃の後、ポーランドとの国境に近い場所でも正確に攻撃されることをアメリカ/NATOは理解したはずで、ポーランドの役割が重要になってくる。

 ウクライナでの戦争は2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ政権がウクライナのネオ・ナチを利用してクーデターを実行、東部地区や南部地区を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチを排除したときに始まる。ゼレンスキー政権もクーデター体制の中から誕生した。

 クーデターを実行したネオ・ナチの中核は「右派セクター」。2013年11月、「三叉戟」と呼ばれていた団体を元にし、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーらによって組織された。5月2日にオデッサで反クーデター派の市民を虐殺したグループの中心もこの組織。右派セクターを基盤にして2014年3月13日には「アゾフ大隊」が組織された。

 クーデターの前にネオ・ナチのグループは軍事訓練を受けている。例えば、2013年9月にポーランド外務省がネオ・ナチ86人を大学の交換留学生として招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたって暴動の訓練をしたとポーランドで報道されている。






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最終更新日  2022.06.12 01:50:11



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