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カテゴリ:第8話 青年インカ
アンドレスの見開かれた目を僅かにそらしたベルムデスは、不意に、苦しげに眉間に深い皺を寄せた。 それから、慈愛と悲愴の混じった面持ちで、アンドレスに向き直る。 「アンドレス様。 お父上のことについて、あなた様がご存知のことを、まず、教えてくださいませ」 「あ…はい……」
だが、アンドレスも、ここで逃げるわけにはいかぬ、と、己を奮い立たせるようにして話し出す。
それから、トゥパク・アマル様から、以前、少しだけ聞いたことがあるのですが、父上はスペイン人だったけれど、インカのために尽力したと。 だから、誇りに思って良いと…――そう言って、トゥパク・アマル様は力づけてくださったのですが」
ベルムデスは思慮深い老練な眼差しで、深く頷く。
「いえ。 それ以上は、何も」
では、お話しせねばなりません。 アンドレス様のお父上のことと、本陣戦の晩にしたためられたトゥパク・アマル様の書状のことは、無関係ではありませんからな」 そう言って、ベルムデスは、やや伏し目がちになった面差しを、天幕の隙間から吹き込む雪の方に向けた。
≪トゥパク・アマル≫ ≪アンドレス≫ ≪ベルムデス≫ ◆◇◆◇◆ホームページ(本館)へのご案内◆◇◆◇◆ ◆◇◆はじめて、または、久々の読者様へ◆◇◆ 現在のストーリーの概略はこちら HPの現在連載シーンはこちら ランキングに参加しています。お気に入り頂けたら、クリックして投票して頂けると励みになります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.12.14 18:14:38
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