お帰りなさい、<普通の>アメリカ
PDTSDから回復するのには時間がかかるだろうが、アメリカ社会はようやく嘘とナルシシズムの独裁から解き放たれた喜びに浸り、前に進もうとしている。政府や議会が、自らの言動に責任を持ち、出来る限り隠し事をせず、もちろん嘘をつかず、科学に基づいた決定をし、意見の違う人たちを貶めたり傷つけたりせず、社会的な規範を守って議論する、要するに<普通の>民主主義社会に戻ろうとしている。(PDTSD=Post Donald Trump Stress Disorder、科学的用語ではない。)昨日の大統領就任式の中で、アマンダ・ゴーマン(Amanda Gorman)という22歳のアフリカ系アメリカ人の女性が自分の詩を朗読した。彼女の詩句が象徴的に語ったのは、希望を失くしそうになるほど暗い時期、民主主義が危うく潰されかけたがなんとか持ちこたえたこと、これから分断を修復していかなければならないこと、違いに捉われるのではなく、異なる人々が心を合わせて国の未来と子供たちの為に建設的に民主主義を進めなければならないこと、だった。控えめな黄色のコートと、あちこちに金の飾りを散りばめた編んだ黒髪を顔の長さほどに高く結い上げ、真紅のバンドで赤道の帯のように髪を囲み留め、褐色の肌と白い歯白いシャツが織りなす絢爛、彼女の詩、朗読のリズム、柔らかく漂うような両手の動きは、多くの人を魅了した。彼女の詩からほんの少し、僕の独断的な意訳を付けて載せておきたい。全部を読みたい人はここを、朗読のパフォーマンスを見たい人はここをクリックすればテキストと動画がある。We are striving to forge a union with purposeTo compose a country committed to all cultures, colors, characters andconditions of manAnd so we lift our gazes not to what stands between usbut what stands before usWe close the divide because we know, to put our future first,we must first put our differences asideWe lay down our armsso we can reach out our armsto one another目的のために一つになろうと私たちは奮闘している、全ての文化、肌の色、様々な見解、与えられた条件の違い、この多様さを包容する国を作り上げようと。私たちを隔てているものに目を向けるのではなく私たちの前に横たわる未来に目を向けよう未来を第一に考えるには、私たちの違いを忘れようそうすれば私たちを隔てている裂け目が閉じていく手にしていた武器を捨てればその手を相手に差し伸べることができるWe've seen a force that would shatter our nationrather than share itWould destroy our country if it meant delaying democracyAnd this effort very nearly succeededBut while democracy can be periodically delayedit can never be permanently defeated私たちの国を皆で分かち合うのではなく、力で潰そうとする試みを、目の当たりにした民主主義を後退させて私たちの国を破壊しようとした彼らの勝利はあと一歩というところまで来ていたのだだが、民主主義は時に後ずさりすることはあっても絶対に押しつぶされて消え去ることはない