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10数年前まで、カリフォルニアの土曜の日本人学校に、子供を通わせていた。児童数40人程度の小さな組織で、保護者が各種委員になり運営していた。
ある時、運営委員会が運営規約の改定を提案した。規約改定の一番の目的は、日本語読み書き能力の足りない子供を入学させないということだった。そのために、児童入学に際して下記のような宣誓書を書かせるとの提案であった。 ・・・下記の通り宣誓いたします。 「将来日本での義務教育又は高等教育の履修を予定している」ということを誓約させ、もし「学力や行動などで問題がある場合には退学処分」にできるようにしてある。日本語能力のあまりない生徒を排除する(あるいは排除できるようにする)のが目的だ。 大手の日本企業の駐在員の子供が約半数を占める学校で、運営委員長はほぼ毎年その企業の保護者の中から任命されていた。運営委員会の方針は当然、彼ら短期滞在者たちの意図を色濃く反映していた。 自分達の子供の日本語能力の維持・向上のためには、しどろもどろで日本語を話すような子供達は困るのだ。自分達の子供が帰国して日本の学校のレベルについていけなくなるのを恐れたのだ。 その事情はわかるが、手段が悪い。 僕は米国永住者で、自分の子供が帰国するということを心配する必要がないということもあり、この規約改定には大反対した。(僕の息子の場合は、永住者であるが、日本語能力に問題がないし、従来通り在学できる、との運営委員会からの内示だったが。) 僕の考えを要約する。日本語能力が劣れば確かに授業の進行にも差し障る、しかしあからさまな排斥は時代錯誤だ、門戸を開き日本語の劣る子供、ひいては日本語を学びたいという人達も特別クラスを作って歓迎すべきだ、あなた達の子供は英語を話せなくてもアメリカの学校で受け入れてもらってるではないか。 日本の文部省に電話して、これこれの動きがあるが文部省はどう思うかと訊ねたり、米国各州の日本人学校に電話して、彼らの方針を聞き出したりした。文部省の方針は、地元のコミュニティに門戸を開くべきだ、というものだった。他の日本人学校も、1校を除いて、これほどの排他主義はとっていなかった。 この学校の約半数近くは永住者なので、その人達に電話して、水面下の動きもしてみた。ところが驚いたことに、永住者の人達は、この学校に入れて貰えているだけでもありがたい、規約がどうあれ多分自分達に影響はないのだから、ここで波風を立てるのはどうかと思う、という態度が主流だった。事なかれ、長いものには巻かれろ、である。 数週間後に保護者総会の投票があった。結果は悲惨。僕の考えに賛成してくれたのは、わずか3,4票だった。 僕はその時までその学校の高校部門の授業を受け持っていたのだが、失意の果てに、辞職、自分の子供も退学させることにした。 グループの中でビジョンの共有を育て上げる政治力・指導力というのは、とても難しい。自分の政治力のなさ、カリスマ性のなさを、この時ほど痛感したことはない。 せめて10票は欲しかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
というか恩師の奥様が、中部の日本人学校(同じような土曜学校)の校長?をしておられ、補習をして日本語能力を補っていたとおっしゃっていました。こんな排他的なところがあったなんて・・・
「日本人であること」を大事にしたいのかしたくないのか、よくわからない規律です。 (2004.08.30 16:58:27)
ももちき☆さん
>というか恩師の奥様が、中部の日本人学校(同じような土曜学校)の校長?をしておられ、補習をして日本語能力を補っていたとおっしゃっていました。こんな排他的なところがあったなんて・・・ ----- 十年前のことなので、いまはこの排他的規定も改正されているかもしれません。驚いたのは、文部省のほうがより開明的だったということでした。 (2004.08.31 16:47:29)
なんて勝手なんでしょう。
自分さえよければいい、他人のことはどうでもいい という印象を受けました。 子供の学ぶ場を取り上げるとはなんたること。 こんな判断しかできなかった大人が多かったという ことが残念でなりません。そんな親から育った子供も同じ価値観を持ち育って行くのでしょう。 勉強だけできればいいのか。 何か履き違えてる気がします。 (2004.09.04 01:09:05)
~Anabatica~さん
>なんて勝手なんでしょう。 >自分さえよければいい、他人のことはどうでもいい >という印象を受けました。 ----- もう10年前の話ですから、今はどうだかわかりませんが、当時海外進出していた企業はあまりコミュニティーに溶け込もうという姿勢はなかったのではないでしょうか。企業としてそういう体質があれば、その社員も、少しはコミュニティーに還元しようという考えが出てくるのでは? (2004.09.04 14:06:21)
cozycoachさん
>もう10年前の話ですから、、、、 現在でも私の住む州では同じ措置を取ってる学校があるようです。幸い私達の補習校は生徒数が少ないので、問題はありませんが、米国在住8年で10歳の子供がいる知り合いが「日本語の読み書きが遅れている我が子は入れてもらえないらしい」と嘆いていました。 少し話は違いますが、 私の息子が小学校3年で始めて現地校へ登校した日、英語はまったく話せませんでしたが、 日本語なら話せると私が横から言った際に "Wow- Cool!" という言葉が返ってきました。息子はその反応にずいぶん助けられたと思います。息子も私も、アメリカがすぐに好きになりました。 (2004.09.04 16:33:11)
~Anabatica~さん
>現在でも私の住む州では同じ措置を取ってる学校があ>日本語なら話せると私が横から言った際に "Wow- Cool!" という言葉が返ってきました。息子はその反応にずいぶん助けられたと思います。息子も私も、アメリカがすぐに好きになりました。 ----- そうですか、いまだに閉鎖的なところは変わってないんですね。残念なことです。アメリカも日系人を強制収容所に送った過去があるわけですが、改めてゆく速度も速いですよね。 これも10年程前の話ですが、帰国子女の生徒が英語がうますぎて(当たり前ですが)、生徒どころか英語の先生からもいじめられた、というドラマがありましたね。「絆」というタイトルでしたか。ああいうのを見ると、ほんとに腹が立ちますね。 在米生活、がんばってください。 (2004.09.04 16:52:09)
学校の規則が厳しいのは、人気を受けるのに役立つ事が多いみたい。
この規約、どうとでも取れる規約だから改正が難しいのではないかと思う。 部外者には、特に違和感無いな~。 外国に居る人には、母国の言葉は武器になるから、 習いわせたいですよね。 票を取れなかったのは辛かったと思いますが、 残って、特別クラスを作る運動すればよかったのにと思う。 私のいた、中国語学校では、日本語しか出来ない人は、2学年くらい、下のクラスに入ります。 語学がカバーできたら、飛び級します。 外部(日本の普通の学校)から入学希望が多いときには、 後に中国語促成クラスもありました。 規則に拘るより、現実の場面で話したら、打開策は有ったかも。 最近は、日本人の子供でも語学の特殊性を望む子供は入学できるみたいです。 でも、私立は学費が高いですよね。 (2004.09.05 00:15:13) |
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