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一語楽天・美は乱調の蟻

2005.04.02
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チェス世界選手権サイクル
1958-60年 フィッシャー世界に初挑戦、インターゾーン 4位、挑戦者ラウンド 5位
1961-63年 インターゾーン 1位、挑戦者ラウンド 4位
1964-66年 ソ連選手の八百長を理由にフィッシャー棄権
1967-69年 フィッシャー再挑戦、インターゾーンで首位を走っていたが途中棄権

ボビー・フィッシャーの気難しさは齢とともに過激になり、67年のインターゾーンでは途中まで首位を走っていたにも拘らず、スケジュールなどに対する苦情を主催者側が認めなかったため、フィッシャーはあっさりと途中棄権してしまった。

フィッシャーは、次の世界選手権サイクルのインターゾーン戦(1970年)に参加する資格を得ることが出来なかった。というのも、またまた気に入らないことがあって1969年の全米選手権をボイコットしたからだった。全米を戦わずにアメリカ代表になることは出来なかった。

ここで二人の男が助け舟を出した。全米チェス連盟の幹部エドモンドソン(Ed Edmondson)とアメリカ代表の一人ベンコ(Pal Benko)が画策して、ベンコが代表の座をフィッシャー譲った。ベンコは、フィッシャーしか優勝するチャンスはないと思ったのだ。

こうしてフィッシャーはやっと1970年のインターゾーンへの参加資格を得た。そしてインターゾーンの後半戦から奇跡の20連勝が始まった。

中盤からの7連勝でインターゾーンを首位で終えたフィッシャー、挑戦者戦の最初(準々決勝)の相手はソ連チェス界のベテラン、44歳のマーク・タイマノフ(Mark Taimanov)だった。コンサート・ピアニストでもあり、やはりピアノ奏者の妻(Liubov Bruk)との二重奏は Great Pianists of the Twentieth Century というレコードにもなっている。息子も有能なピアノ奏者で、ピアノを軸に幸せな家庭を営んでいた。

フィッシャーは稀有の集中力と耐久力でタイマノフを6対0で葬り去った。このレベルの戦いで6連勝というのはちょっと考えられない。例えば、1968年の挑戦者戦では、8人の参加棋士が全部で62局戦ったが、うち35局(56%)は引き分けだった。連勝というのは殆ど無い。2連勝が4回、3連勝がたったの一度、スパスキーがラーセンを破った時にあるだけだ。フィッシャーの成し遂げたことが如何に桁外れのことかがわかる。

フィッシャーの奇跡はまだ続く。準決勝の相手、デンマークのラーセンをまたしても6対0で一蹴したのだった。挑戦者戦で12連勝、インターゾーンの時から数えて19連勝という前代未聞の偉業だった。挑戦者決勝の相手はソ連のペトロージアン、ここまで17局のうち15局を引き分けてきた、老獪な前世界チャンピオンだ。緒戦を獲ったものの、その後とうとう初黒星を喫し、更に3連続引き分けと、苦戦を強いられた。ところが、この後またもや3連勝し、フィッシャー念願の世界チャンピオン挑戦が決まった。

ソ連のタイマノフは帰国後、「村八分」にあっている。空港で荷物を検査され、ソ連では当時禁書だったソルジェニツインの著作と無届の外貨を発見された。特権的な地位にあるチェスのグランドマスターとして、今までは多分不問に付されていただろうことがそうでなくなったのだ。フィッシャーというアメリカ人に6連敗で負けて帰ったことは国辱であり重罪だった。タイマノフはソビエトチームからはずされ、その後2年間の国外旅行を禁止された。全ての特権は剥奪され、コンサートでのピアノ演奏も禁じられた。収入の道を閉ざされて結婚も破綻した。

一党独裁政権に恐れをなして、殆どの知人・友人はタイマノフを公には庇おうとはしなかった。例外はボリス・スパスキーだった。「我々みんなフィッシャーに負けたんだ。全員、絨毯の上を引き回されなきゃいけないのか?」

そして、ボビー・フィッシャーの次の相手が時の世界チャンピオン、ボリス・スパスキーだった。






最終更新日  2005.04.03 09:04:00
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