テーマ:思ったこと 考えたこと(834)
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この友人はパソコンの扱いでは僕の後輩であり教え子だった。Windowsの使い方を教えたり隠し技をあれこれ伝授したものだ。その人からGoogleという新しい検索エンジンのことを教えてもらったのは1990年代の終わり頃だっただろうか、それまではAltavistaやLycosを使っていた僕たちの検索世界は一挙に加速した。そしてその日から、僕とGoogleは離れられない間柄になってしまった。Googleの能力は日々進歩し、それとともに有益な情報を載せたウェッブサイトが雨後の竹の子状態となり、その上ほとんどすべてが無料で享受できるこの時代は、自分の人生だけでなく人類最大の幸福の革命だと思い込んできた。(新しい検索エンジンに導いてくれたその後輩とは残念なことに疎遠になってしまった。)
しかしGoogleのビジネスモデルは、最初から計画したものかどうかはわからないが、無料のサービスを通じて個人の情報を集め、それを元にしてマーケティングを進化させることだったのだ。 先日、いまだにインターネット・プロバイダーのメール・サーバーを使ってEメールを使っている友人に、なんでウエッブメールを使わないのか、半ば責めるように訊ねた。(ウエッブメールとはもちろんGoogleやヤフーなどのメールで、サインインすればどのパソコンからでもアクセスできる種類のものだ。今は、インターネット・プロバイダーのメールもウエッブからアクセスできるものがほとんどのようだが、一番の問題点は、プロバイダーを換えるとサーバーにアクセスできなくなることだ。) 彼は、Googleに自分のことをすべて知られているようで、それに抵抗しているのだと反駁した。確かに、アンドロイドOSのスマホをポケットに入れてレストラン***で食事して出てくると、いきなり「***はどうでしたか、評価してください」とメッセージが入る、また、クレジットカード会社への支払いが期日になると「明後日が支払い期限です」と忠告してくる。これらの情報は、こちらから積極的にスマホに入れたわけではなく、このスマホのアカウントとしてGoogleに登録してあるので、位置情報やメールの交信記録からGoogleがかってに有益だと判断したものを(多分がAIを使って)抽出して知らせてくれているものだ。この程度の情報ならまだ許せる。しかし技術的にはもっと立ち入った情報操作ができる、あるいはもうしている、はずだ。たとえば、商品の購入履歴や検索履歴から、僕の嗜好は分析され、これこれの品物を進めたりやある地域の旅行情報を流せば食指が動くと予想されていて、そのデータをもとに広告の集中砲火を浴びせられるかもしれない。あるいは、より深刻に、(アメリカで)医療保険を購入しようとすると、保険会社には僕の過去の病気や現在も抱えている慢性病のことなどが筒抜けで伝わっているかもしれない。すると保険会社からは、リスクの高い被保険者と認定され保険料が引き上げられるかもしれない。もちろん、個人のアイデンテティが特定できるような情報は個人情報保護法で守られていることだろうが、グループとしての志向性は使えるという抜け穴があるに違いない。それを活用すれば法に触れずに保険会社のような大企業を利することができるはずだ。 今やデータが資本主義を支配する時代なのだ。リーマンショックが結果的に金融資本の一元支配を終わらせ、データ経済の抬頭を早めたのだろう。Googleだけではない、FAANGと略語化されたFacebook、Amazon、Apple、Netflix、Google、そしてFAANGが提供するデータを活用する巨大企業が我々の消費ばかりでなく様々な行動をコントロールする時代が来たのだ。 しかし考えてみると、このデータの源はどこにあるのだ、未知の場所から自然と湧きだしてきたものではない、他ならぬ僕たち一人一人が供給したもの、あるいは僕たちからむしり取られたものではないか。たとえば、何か価値のある鉱物資源を採掘すれば、その土地の所有者に権利料を払わなければならない。どうして僕たちはこの貴重なデータの権利料をもらうことができないのだろう?いや権利料が欲しいのではなく、FAANGが不当な利益を得て市場を独占するのがおかしいと思うのだ。政府あるいは特定の非営利団体に権利料を支払い、それを社会に還元するべきだろう。 他にも市場寡占化の問題、データの政治利用の問題があり、FAANGその他のデータ関連企業を政府による規制で制御する必要がある。どのように規制するか、また別の機会に考えてみる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
全くもってその通りです。
(2020.01.24 00:00:27)
JAWS49さんへ
なんでもNHKを潰せと言ってる政治家、政党がいるそうですが、Googleを分割しろ、と主張する人はいないんでしょうか?アメリカ資本の言うままの政治家がほとんどでしょうから無理でしょうかね。 (2020.01.24 04:36:03) |
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