「かつての無垢は今や無責任でしかない。ものの見方、考え方というものはたえず改訂していかなければなりません。」と、ル=グウィンは言った。
これは、『「ゲド戦記」を“生きなおす”』と題する講演の記録による。
ル=グウィンは3巻までを書いた時と、全く違う視点から4巻目の「帰還」を書いた。
その間の事情についての話は、仕事を持つ女ならば誰もが他人事ではないと感じるに違いない。
世の中は男の視点ではこばれている。
男として仕事をすることが一人前とみなされるためには必要である。
これはいつも私が感じていたことではないか!
男と同じように仕事を覚えようと思えば、男以上に男らしくなることが求められるのだ。
男の視点で書いた3巻までとうって変わり「帰還」は女の目の高さで語られた。
訳者の清水さんは、成熟したフェミニズムと呼んだ。
つづく