アイスランドのCCS
二酸化炭素回収・貯留技術(CCS)は、化石燃料を使用した際に発生される二酸化炭素の90%を回収し、古い油ガス田や塩水性帯水層などの地下に隔離…「大気に入らないように閉じ込める」という国連が推進している技術です。 アイスランドの研究者とエンジニア、そしてフランスとアメリカの専門家が共同で、「CCS」と呼ばれる手法を使ったプロジェクトに取り組みました。 数年にわたってチームは、アイスランドのレイキャビク近くの火山にある巨大なヘトリスヘイジ地熱発電所にこもって開発を続けてきました。溶岩が冷却されてできた多孔質(たこうしつ)の玄武岩質層(げんぶがんしつそう:地殻の下部にある層)に建てられたこの発電所は、ほぼ無限に火山の地下水を利用できる環境にあります。 この環境に目をつけた「CarbFix」チームは、独自のCCSをヘトリスヘイジでテストすることにしました。仕組みは次のようになっています。 レイキャビクに熱と電力を供給するため、発電所では火山の地下水を組み上げてタービンを回しています。発電所の蒸気から排出された二酸化炭素を回収し、圧縮して液化させ、これを大量の水に混入します。 この炭酸水は近くの井戸に送られ、地下1,000メートルの玄武岩に注入されます。水が岩の穴を満たすと、二酸化炭素が岩に含まれるカルシウムやマグネシウム、鉄と化学反応を起こし、凝固が始まります。 こうして何年もテストを重ねられ、「CarbFix」チームは2018年終わりまでに4万3000トンもの二酸化炭素を地下に注入しました。アイスランドの火山から毎年排出される二酸化炭素は100〜200万トンなので、それと比べると少量である。 このプロジェクトによって、ヘトリスヘイジ発電所の二酸化炭素排出量は3分の1に削減されました。この方法は、近くに水源と玄武岩層がある場所なら、どこでも応用可能だと言います。 しかし、この方法の欠点は大量の水を必要とすること。二酸化炭素を1トン注入するごとに、25トンもの水が必要になります。