φ(．．) Daily　Groovus

ALM 　（アルム）




皆さんの中でこのALMをご存知の方はいらっしゃるだろうか？
1981年4月に結成され名古屋のライブハウスで活躍していたプログレッシヴ・ハード＆ポップ・バンドである。　あのNOVELAの1981年11月にリリースされた『Paradise Lost』のレコ発ツアーでは愛知厚生年金会館で前座を務めているほどの実力者なのだ。


しかしその実力とは裏腹に今ではネット検索をしてもヒットすらしない存在となってしまった。　ボクは今まで随分と彼らのことを追っていたけれどほんのわずかな情報さえも掴めずに今に至ってしまった。　これだけの実力ならばデモテープくらいはあっても良さそうなのに…（涙）


今ボクの手元にあるのは1本のビデオテープだけだ。
これは地元名古屋の中京テレビが深夜に5分ほどの枠で放映していた『Music Fellow in Nagoya』という番組を録画したものである。　当時はビデオデッキさえ物珍しい時代だったので当然音質はモノラル、とても良質だとは言いがたい。　しかし彼らの音源、しかもスタジオライブ映像ということで大変貴重なものであることは間違いない。　　






メンバーは以下の通り－－－－

　　　　　吉田克己・・・・リーダー、G.
　　　　　伊藤　司・・・・Vo.
　　　　　中尾泰明・・・・Dr.
　　　　　竹田章宏・・・・B.
　　　　　寺西千秋・・・・Key.

彼らのサウンドは基本的には俗に言うプログレッシヴ・ハードであるが、少女漫画のファンタジー＆ロマンチックさとヨーロッパ圏の重くて暗いアングラな部分を兼ね備えた懐の深いバンドであった。　前出のNOVELAやMoon Dancerなどが好きな方にも十分満足のいくバンドであろう。


特に変拍子を多用し、しかもリズムがコロコロ変わっていく「S・O・S」はへヴィでありながらもスピード感があって、それでいてシアトリカルで…それこそプログレッシヴ・ロックの醍醐味を満喫できる彼らの代表曲と言えよう。　


またもうひとつの代表曲「ハンクおじさんの休日」は一人の少年を題材としたファンタジー感いっぱいのナンバーで、馴染みやすいメロディと歌詞に合った場面展開の絶妙さはまるで一話完結の物語を読んでいるようだ。　レコード・デビューでもしていれば間違いなくNOVELAファンは飛びつくであろう。


インスト・ナンバー「Requiem "Michelle"」は元々へヴィロックをやっていたG.吉田氏の重々しく引き摺るようなギターソロとKey.寺西氏の重いシンセをショルダーにかけスペイシーなソロを弾く姿に圧倒される（画像参照）。　当時のアナログ・シンセは本当に想像を絶する重さなのだ。　もちろんそれをしっかりと支えるリズム隊のテクニックも相当なものである。


「水色の朝」や「ピエロの涙」といったスローなナンバーは壊れてしまいそうなほど繊細で、Vo.伊藤氏の安定したボーカルが胸に沁みる。　その反面「Twinkle Baby」という超ポップなナンバーをも自分たちのものにしてしまう音楽性の広さはもっと世間に認められても良かったはずだと強く感じる。










実はこのALMとその前身バンド“蛇夢”（JAM）の話をLUSHELの宮崎さん（B.)にしたところ、なんと“蛇夢”のことをご存知だとおっしゃるではないか！　鳥肌が立った！！　しかも同LUSHELの本橋さん（Dr.)がALMのDr.中尾氏のことをご存知だという話が！？　これはまだ本橋さんから直接お話を聞いていないので何とも言えないのだが、それにしても25年近く追いかけていたバンドの一端を知ることが出来て本当に感動と驚きだった。　そして何よりも驚きだったのはG.の吉田氏がお亡くなりになっていたという事実。　それを知った時は本当に悲しかった。　彼がご存命であれば日本のロックも変わっていただろうと思う。　残念でならない。


ということで、このALMに関しての情報をお待ちしております。
当時のことをご存知の方やファンだった皆様、そしてもちろんご本人様も是非ご連絡ください。　
伏せてお願いいたします。
（あ、知らない人でもコメント下さい）







明日はALMの前身バンド“蛇夢”に関してのレビューを予定しております。