テーマ:司法全般(518)
カテゴリ:司法研修所前期・後期修習
検察起案2で、個人的にもっとも重要だったのは、事件性と犯人性の区別でした。
検察起案では、犯人性から検討するのがルールになっていますが、その区別は時として難しいですし、よく混乱します。 犯人性は事件性があることを前提にしているのですが、贈収賄やら知り合い同士の詐欺やらでは、ほとんど犯人性=事件性みたいな所があり、何をどう書いて良いのか、分からなかったのですが、今回でようやく理解できたようです。 起案の際に、犯人性をどう書いて良いのかわからない、と思うようなことがあれば、とりあえず「犯人は」で始まる文章を書いてみましょう。例えば、 「犯人は、架空の受注伝票を作成して、仕入れ先からオフィス用品を納品し、そのオフィス用品を買い取り業者に売って、その代金を着服した。」(ここまでが事件性) その上で、 「犯人はAか」 と、考える。 より具体的には、 架空の受注伝票を作成したのはAか、 オフィス用品を納入したのはAか、 オフィス用品を買い取り業者に売りに行ったのはAか、 と考えます。 ここで、受注伝票の記載にある担当者の氏名は、犯人性についての証拠ですが、受注伝票に記載のあるオフィス用品に対応する記載が、注文先の仕入れ原簿のようなものになかったことは、事件性の裏付けです。 つまり、誰が作成したかは、犯人性ですが、それが架空の注文だったか、本物の注文だったかは、事件性の話、ということになります。そして、検察起案では事件性があることが前提ですから、それが架空の注文かどうかは検討しなくて良いことになります。 とりあえず、迷ったら、「犯人は」で文章を書く。その上で、「犯人はAか」と問題提起をする。そして、Aということを特定しうる証拠を検討する。 という順序で良いように思います。 誤解を生むようでしたら、適当に流しておいてください。私的には非常に納得がいったので、書き留めておきました。 法曹倫理についても授業があったのですが、これはまた今度書きたいと思います。 にしても、最近の裁判官の採用は、2回試験の成績一本でほぼ行くようでして、ほぼ一発勝負らしいです。 実務修習での成績や後期の成績は、一応研修所の成績として表にでる様子ですが、にしても、採用は一発試験かぁ、と思うと、良いのだか、悪いのだか、という感じですね。 昔は、研修所の成績や、日頃の姿勢、年齢なども含めて、色々な視点からのプレッシャーがあり、良くない噂もなくはなかったのですが、第三者機関である諮問委員会が審査機関として入ったため、分かりやすい基準の方が最近は優先されているようです。 ではではまた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月04日 20時16分04秒
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