一生分
酒の作法について酒を飲みながらそのありようを考えるというのはいかにもあさはかな行為であるが果たして頭を回しているつもりでも、一向に思考がまとまらず愉悦の赴くままに酒ばかりが進むのである。適切な酒量とはいったいどのような量なのか?厚生労働省には飲酒のガイドラインというものがある。かかかるお役人方が皆このガイドラインに従って飲酒を嗜んでおられるのかは知れぬが、曰く下記の如くである。「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である。」アルコール20gとは日本酒では1合、ビールでは中瓶1瓶、ウィスキーダブル1杯が目安となる。いずれも20gをアルコールの比重である0.8で割リ、さらにアルコール濃度(度数)で割ると適量が導かれるという寸法である。飲酒をよしとされる二十歳から、仮に齢百歳まで毎日適量を嗜んだとして一生涯に飲む酒の量は日本酒で約3,000升。日に3合を喰らっていれば26~7年で一生分を飲んでしまう事になる。私の場合、若い頃には随分と無茶な飲み方もしたので、四十の声を聴く前に呑み終えているに相違ない。斯様な飲み方をしていては到底百歳まで寿命の持つはずもなく、とすれば一生分の酒というのはもっと少ないはずである。しかし、日に日本酒1合というのは大方の酒飲みからすれば、ぐい呑を舐めただけと大差がない。これが適量だとすれば、酒を嗜むというのは、ごくごくとのどを鳴らして飲むという行為では無いのかも知れない。ではどうやって、適切な量を維持するのか?厚生労働省では、自分で酒量を減らすための方法として、一日の飲酒量を減らそうとするよりも、飲酒日数を減らすという目標の方が達成しやすいといている。厚生労働省 e-ヘルスネット 酒量の減らすための方法連続して飲まないというのはあながち誤ってはいないと言える。ここでもう一つ、ルールを策定する事にする。休刊日には自分を祝福しよう。きれいに飲めた日は自らを祝福しよう。