ピンチ? n進法←→10進法
こちらでは6月から新学期です。そこで、今年かりんに教えることを私自身も予習しているのですが・・・フィリピンの私立小学校で使われている教科書を見ているとややや、n進法から10進法、10進法から、n進法へ換算する、というのが一学期に出てくることを発見してしまいました。私自身、n進法のしくみは日本の小学校で習ったけれど、換算法なんて、知らない・・・というわけで、教科書とじっくりにらめっこしてみました。でも、この教科書、具象から抽象への橋渡しが急すぎるのです。単元の1ページ目には、まず13本の鉛筆が描いてあります。次の絵は10本が1束にされ、3本がばらで残っている絵。そこに、「10が1つと3。10進法では13と書く。」と書いてあります。その隣に、5本の束が2つと3本あまっている絵が描いてあります。「5が2つと、3。5進法では23。」と書いてあります。なるほど、10本づつ束ねたら10進法、5本づつ束ねたら5進法と言うわけです。初出にしては、やや急速ですが、ここまではいいとしましょう。・・・でも、5本の束が6つできる時は、どうするんでしょう・・?その説明は書いてもいないし、例も出されていません。その下に、10進法と5進法について、乗数を使って説明してあります。(フィリピンでは乗数は3年生から掛け算の延長として習う)13は、1X10+3X1なので、1X10の1乗+3X10の0乗10の0乗は「1の位」なので3X10の0乗は3という意味。5進法の23は2X5の1乗+3X5の0乗=2X5+3=1310(10進法)大人なら、習った事が無くても、なんとか考えればわかるけれど、6年生の頭で、これが10進法の位と5進法の位の違いだということはわかるのかな~?しかもすでにここで抽象化(具体物から離れて、数字を当てはめる)が始まってるのでうーむ・・・と思いつつ、ページをめくるとそこには、・・・「10進法では0~9までの数字しか使えず、7進法なら0~6までの数字までしか使えず、2進法なら0と1しか使えないうんぬん」という簡略な説明の後、いきなり10進法の174を8進法に換算しなさい。え~、いきなり174ですか? そして、やり方が書いてあります。こうやってやるんだそうです。本では筆算になっているのですが、ブログではうまく書き込めないので横書きになおして書きますが・・・174÷8=21あまり621÷8=2あまり52÷8=0あまり2なので、10進法の174=8進法の256。えっ!なんであまりが6、5、2だと、いきなり256になるの~????こりゃー、この方法でやれば、機械的に計算はできるかもしれないけど、なんでこうなるのかという原理は子どもにはわからないまま・・・。教科書は、そのあとぎっしりと練習問題が続きます。塾の赤本みたいなものには、別のやり方が。こちらもまた機械的なのですが、同じ174を使ってみると・・・174に入る8の最大の倍数は8X8=64なので174÷64=2あまり4646に入る8の最大の倍数は8自身なので46÷8=5あまり6なので、8進法では256と。この説明だけではちょっと見ると難しく見えるけど、実はこっちの方が、まだ使えそうです。例えば8進法なら、えんぴつ8本で1束、8束で1小箱、8小箱で1大箱、のように絵を書いたり、実物を使ったりして、えんぴつ174本は、2小箱、5束と束にならなかったあまり6本になることを示してやればいいわけで、まずは小箱に入るのか、それとも大箱なのか束しかできないか、と考えればやりくりしているうちに倍数の64が出てきて、そうすれば、このやり方が理解できそうです。日本では私のころはここまでやらなかったにしろ2進法と5進法だけ、簡単なしくみはならったのですが、その後中学に移され、今では教授内容から除外されたらしいです。フィリピンで、なんでこんなに一生懸命n進法を教えるかと言えば、やはりコンピューター関係の人が多いので、プログラミングにある程度必要になるということなのかもしれませんが・・・それにしても、6年生の算数、まだこんなの序の口で、一次方程式、図形、統計、確率などわりと一般的なのに加えて、平方根を整数に直す・・・・例えば √7056を整数にせよとか平方根の計算・・・例えば4√125+(-9√45)-√80とか利息計算・・・例えば 8,800ペソの投資に対して、月率3 1/2%(なんで分数なんだ)として30ヶ月後の利息は?なんてのまで出てきます。これだけ浅く広く詰め込んでも、頭に残らないような気がするんだけど~しかも公式まる覚えが多すぎ。私としては、小学校時代って、もっと具体的な数の感覚を養うべき時期だと思うんです。つまり、数字を聞いたときに、パッと具体的なイメージが頭にわく。その感覚を養うのが大事だと思います。もちろん無限の数のような、具体的イメージを持てないものだってありますが、たいていの数字には具体的な意味がありますよね。O人だったり、Oリットルだったり、O個だったり。平方根だって、6年生くらいでは、まだタイルとかジオボードとかを使った導入をやって感覚をつかんだ上でやらないと、その時だけわかって、あとですっかり忘れることになりそう。でも、これだけ広くやろうとすると、その大事な所をはしょって公式ややり方の暗記にとどまるのかもしれないです。学校だとちゃんと教えてくれるのかと言うと、そうでもなくて、3年生の時、摂氏から華氏、華氏から摂氏への換算を公式だけ覚えさせられてきたことがありました。なぜそうなるのか、っていうのが大事なんだけどね~、なんて子どもに言っても仕方ないのですが。結局、なんで余りが6、5、2だと256になるのか・・・いまだによくわかっていない私です。