サポート・グループで
月に1度のホームスクールのサポート・グループ。親もさることながら、子供たちも集まるのを楽しみにしているので、今度から月に2度、隔週で集まる事になった。今回はバレンタインデーのある2月ということで、子供たちはそれぞれのレベルにあった「愛」についての本を事前に読み、高学年からハイスクール、中学年、低学年、幼稚園と、それぞれのグループに別れて、話し合ったり工作したりすることになっている。もちろん「愛」と言っても、男女の愛だけではなくて、親と子の愛、兄弟間の愛、神様の愛、友情も含めての「愛」について。ところが、ゆっぴー「嫌だ、読まない」と言って、全然用意をしなかった。「じゃあ、自分で皆の前で『ぼくは何も読みませんでした』って言わなきゃ仕方ないわね」と私。「うわぁ、そんなの屈辱的だわ(humiliating)!」と大人びた口調のかりん。「まあ、自分の決断は自分の責任だからね。」と私。今更じたばたしても仕方ないもの。さて、どうなることかと思っていたのだが・・まず、それはさておき。私は低学年グループの受け持ちだった。ゆっぴーは中学年グループだから、別のグループ。見ていると、1年生、2年生の子が、なんとも上手に字を書くので驚いてしまった。"Happy Birthday, Papa"とパパへのお誕生日のプレゼントを作っている子は1年生。ゆっぴーと同じく、年長だった昨年度からHSをはじめて、今年度が2年目。ホームスクールを始める前は、読字、書字障害(ディスレキシア)ではないかと疑われていた子だけれど、今は鏡文字など全然ないし、スペルもちゃんと書いている。ゆっぴーなんか、鏡文字こそ卒業したものの、いまだにバースデーなんてちゃんと綴れそうにないぞ~。もう一人の男の子は、お母さんと家でちゃんと「愛の意味について」ディスカッションしてきたらしい。ホームスクール・グループのお友達にあげるのだと言って、まず "For OOO" と、お友達の名前を書く。なんとoの字をハート型にしているところがなかなか。クリエイティブなお母さんに似たのか、1年生の男の子にしては、センスがある。そして裏側には、"Love mean that you will always be my friend. Your friend, OOOOO(自分の名前)" と書いている。それを見た隣の女の子(この子は年長児)が、"Love means"でしょ、sを付けなきゃだめだよ、と指摘する。それにしても、1年生で幼いなりにも「愛とはなにか」を語れるなんて、すごいなぁ・・。ちゃんと三人称単数現在の文法を習得してる年長児っていうのも、すごいけど。それにしても、これが普通の1年生のレベルなのかしら~?と、普段ゆっぴーのレベルを見ている私は内心ドッキリ。ゆっぴーがスペルが苦手なのは、軽度ディスレキシアだからで、だから文章を書くのも苦手だし、本を楽しく読めるようになったことだけでも成長ではあるんだけれど・・・。それでもスペルとか文章能力については、やっぱり普通の子よりも2ー3年分くらい遅れがあるのかなぁ、って思ってしまった。ゆっぴーにはゆっぴーなりに彼のペースで成長してほしいと思っているから、HSしているわけなので、他の子と比べる必要はまったくないし、HSしたことは全然後悔していないけれど、やっぱり複雑な心境。自分はゆっぴーに適した教育をちゃんと与えてやれているだろうか、と心配になってくる。さて、中学年のグループも活動が終わって、わいわいと部屋の中に入ってきた。受け持ちのDさんに「どうだった~?実はね、ぜったい読まないって、何にも準備していかなかったのよ、ゆっぴーは」と言うと、活動中の様子を話してくれた。「実はね、ある子がナルニア国物語シリーズの話をはじめたのよ」とDさん。そのとたんに、ゆっぴーも俄然、元気になって、「ぼくも『魔術師のおい』を読んだよ」などと活発におしゃべりをはじめたのだそうだ。(実際は、ゆっぴーが自分で読んだわけではなくて、読み聞かせだけれど)それで、一通り子供たちがそれぞれナルニアの話をした後、「それじゃ、ナルニアのお話の中のどんなところが『愛』と関係あると思った?」とDさんが聞くと、ゆっぴーが「それはね、『魔術師のおい』の話の中で、 主人公は金色のりんごを食べるように誘惑されて、 とっても食べたくなったけれど、我慢したんだ。 それは病気のお母さんを愛していたからだよ。 お母さんを愛していたから、どんなに食べたいと思っても、 正しいことを選んだんだよ。 だから、『魔術師のおい』の話は、お母さんへの愛情のお話なんだ。」と言ったんだそう。「それで、それをきっかけに、みんな次々とナルニア国物語のどんなところが愛情と関係あるかを話す事ができたの。家族への愛情、神様の愛情とみんなから意見が出てきて、うまーくまとまったの。ゆっぴー君、なんだか内側にいい物を持ってると思うわ。」とDさん。なんだかそれを聞いて、涙が出そうになってしまった。今回の会合の準備のために、私はゆっぴーと一緒に本を選んだり、読んだり、ディスカッションしたり、そんなことは何もしなかったけれど、ちゃんと読んだ本はゆっぴーの中で消化されて身になっていたんだなぁ。そして、私の知らないところで、ちゃんと神様がゆっぴーを準備しておいてくれたんだなぁ、そんな風に思った。1年生の子と比べて、ちょっと凹んだ気持ちや焦りはふっとんでしまった。家に帰ってから、ゆっぴーがにっこり笑って言う。「お母さん、ぼく、何の本について話したか、わかる?『魔術師のおい』だよ。」とっても嬉しそうな、ちょっと恥ずかしそうな笑顔だった。