今季洋のサビアンアート占星術。

マーク・エドモンド・ジョーンズの獅子座３０度のサビアンシンボルは、An unsealed letter．「開封された手紙」。



ディーン・ルディアの獅子座３０度のサビアンシンボルも、もともとのジョーンズのものと同じ、An unsealed letter.「 開封された手紙」です。

この unsealed という原文の英語は、日本語に訳するときに「開封された」という意味合いのほかに、「もともと封をしていない」という意味合いの、その両方を見ることができます。

まず最初の「開封された」という意味合いで考えると、その前には封がしてあったということになります。封がしてあるということは、きちんとしていて、安全性に加えて秘密が守られている感じや、そのあたりのことにはちゃんと気を配っている事務的な確実性、そしてまたオープンになっていない閉ざされたイメージなどが出てくるかと思います。

逆に「もともと封をしていない」という意味合いで取るとすると、オープンで誰もが見ることができる状態であることや、それほど秘密にしておかなくてはならないことは書かれていないとか、また、この手紙の持ち主のちょっと大雑把で細かいことには気を配らない性質などが見えてくるかもしれません。

獅子座が持っている性質を考えるなら、後者のほうの「封をしていない」のほうがピッタリなように思えます。獅子座というサインは気宇壮大なサインなのですが、ということは逆に、あまり細かいことは気に留めないサインであるということもできるのです。そしてまた、もともと獅子座というサインは、それほど秘密主義な性質は持っていません。

秘密主義な性質は持っていないのですが、獅子座が持っている創造性を発揮するときには、熱さを伴った集中力が必要なので、そのときには「閉じこもる」ということになります。しかしこの30度という度数は、獅子座エネルギーを空っぽになるまで全て使い切る必要性がありますので、その創造者を守り育てていた子宮のようなドームの境界は、この30度においては全開放されることになります。

そしてまた、先ほどの和訳のほうにお話を戻すと、前者のほうの「開封された」という日本語訳の場合には、そこにちょつとした何らかのドラマ性があることがわかります。もともとは封がしてある手紙が開けられました、さて、そしてその後はどうなって行くでしょう？というようなドラマ性ですね。このドラマ性というも獅子座の象意のひとつとなります。

この両方をトータルして考えると、つまりは、どちらの和訳にも獅子座らしさが認められる、つまりは、どちらの和訳を取るかは好みの問題となるかと思います。


それにしても「手紙」というものが日常の生活から姿を消し、メールなどのデバイスを介したものが主流になってから、しばらくが経つようになりました。スマートフォン・タブレット・パソコンなどの中のコミュニケーションツールを使ったやり取りは、スピーディーで、軽くて、そしてすぐに流れて消えて行く印象があります。

手紙といったとき、それは大きく分けて、個人的なものと仕事など公用的なものとがあるわけですが、仕事などの公用的なものは「郵便物」という言葉を使うことが多いと思います。そして、この度数でのドデカテモリーが蟹座であることを考えると、ここでは「気持ち」などが書かれた個人的なものに絞り込んで考えることができます。

ラブレターにしろファンレターにしろ、それらは蟹座的な「心」が書かれたものでした。便箋にペンで手書きをして行く「手紙」は書くスピードもゆっくりとしていたし、そしてまた「思いの染み込んだ物」として長く手元に残るものでしたが、今ではずいぶんとクラシカルな存在になってしまいました。しかし獅子座は固定宮であるので、そのようなクラシカルであることをあまり嫌わずに、むしろ誇りに思うところもあります。

いずれにしましても、この獅子座30度で大切なことは、熱い火でできている獅子座エネルギーは、この度数において、空っぽになるまで全放出されるということです。

たとえばこの度数には司馬遼太郎の水星がありますが、作家の水星というのはその作品を端的に表しています。彼の歴史小説を読んで「火」のエネルギーがチャージされた経験を持つ人も多いと思いますが、30度という度数の性質を考えたとき、とても彼らしい水星度数ということができるでしょう。






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