「自分が人を殺さないのは良い人だからではない、ただそういう状況にないだけだ」
これは川崎のニュースに対しておもったことですが。テレビのコメンテーターなどが事件の凄惨さを語るたびに「自分と無関係な人間を殺すなんて普通はこんなことはできない」と言っていましたが、たとえば戦争で殺し合いをする兵士って、別に相手に個人的恨みがあるわけでもない。大戦中、B29で東京を焼き払い、無抵抗な市民を殺したアメリカ軍の飛行機パイロットは異常な人間だったのか?
今回の犯人がどういう境遇で、どんな心理状態で凶行を起こしたのか、犯人が自殺してしまったからわからない。わかったところで同様の事件を防ぎようがない。
ただ、怖いのは「犯人と自分とは違う」と思うこと。それによって現在似たような境遇の人を追い詰めたり、危険視したり、行動を制限する法律を作ろうという勢力に加担すること。
自分だって、過労によるうつ病になるまでは「自殺するまでブラック企業にしがみついている人間はバカだ」と思っていたから。そうじゃない。毎月休日出勤も含めた200時間残業、過労によるうつ状態になると視野が極端に狭くなる。あの当時の私の心理は相当追い詰められていていた。
ブラック企業やパワハラというのはそういう「追い詰められた人間」を作り出す社会悪でもある。人間性を無視した企業の業績なんて関係ない。
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