衆議院の総選挙が行われ、民主党の圧勝、与党である自民党と公明党の大惨敗し、長く続いた自民党の農政は終わり、新しく民主党の農政が始まろうとしている。
民主党のマニフェスト、とりわけ農業政策に関するものは、これからしっかりとウオッチ、検証していきたいとは思うが、それらを議論する前提として、日本農業の基本的な数値である農産物の総売上（農業生産額）と農業所得の値を押さえておきたいと思う。
農水省は11日、2007年度農業・食料関連産業の経済計算（速報）を公表した。
農業・食料関連産業の国内生産額は97兆9959億円で、国内の全経済活動の約1割を占め、我が国経済の中で一大産業分野を形成している。
部門別にみると、農・漁業11兆4,950億円、（農業9兆5,962億円）、関連製造業では37兆6,146億円、関連流通業では24兆9,620億円、飲食店では21兆3,367億円となった。
農業の9兆5962億円は全体の1％だ。
（わずか1％とは以外に思われると思うが、これが現実だ。）
農業総産出額9.6兆円は、1980年代後半の12兆円弱の水準からかなり低下している。
農業・食料関連産業の国内生産額 (平成19年度)
これを部門別にみると、耕種部門では6兆260億円、畜産部門では2兆9,968億円、農業サービス部門では5,734億円となった。
さらに詳しく見ると、 米は前年度より1.3％減少して1兆8,615億円、野菜は前年度より0.1％減少して2兆507億円、果実は前年度より2.9％減少して7,748億円、酪農は前年度より1.8％減少して8,719億円、肉牛は前年度より1.9％増加して8,089億円となっている。
総産出額の部門別の内訳を大雑把に押さえておくとすれば、米が2兆円、園芸品目（野菜、果実、花き）と畜産がそれぞれ3兆円ずつ、その他は大体1兆円と覚えておけばいいだろう。
農業の国内生産額 (平成19年度)
ここでファーマータナカが一言いっておきたいのは、手前味噌だが、米の算出額より、野菜の算出額が多いことだ。
米が日本人にとって主要穀物であること、あるいは自給率、環境保全という観点から、保護育成すべきことは自明の理ではあろうが、野菜も重要な食料の一分野として、読者の皆さんもその生産育成増産が同じく重要であることをぜひともこの際再確認していただきたいところである。
民主党の「戸別所得補償制度」の具体像はまだ明らかになっていないが、「農産物の販売価格が生産コストを下回った分を農家に補てんする」のが基本で、補てん対象は農産物を出荷するすべての農家、対象品目は野菜・果樹を除くすべての農畜産物としている。
（漁業も後に対象とするとしている。）
なお農業所得の指標となる農業純生産は3兆2287億円で前年度比5.5％減少した。
3.2兆円で何人が食べていけるかという点であるが、もし平均所得が320万円必要だとすると、100万人が食べていける勘定となる。
実際の所は2005年の資料だと、農業従事者が556万人、農業が主の者だけだと335万人いるので、計算してみていただきたい。
