215550 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

佐遊李葉  -さゆりば-

佐遊李葉 -さゆりば-

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

vyゆりyv

vyゆりyv

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(0)

露野

(129)

心あひの風

(63)

孤舟

(59)

かるかや

(68)

蒼鬼

(253)

光明遍照

(53)

山吹の井戸

(52)

きりぎりす

(217)

遠き波音

(50)

羅刹

(193)

コメント新着

vyゆりyv@ Re[1]:羅刹 -193-(10/05) 千菊丸2151さん いつもお読みいただいて…
千菊丸2151@ Re:羅刹 -193-(10/05) 是非このブログを残してください。 ゆり様…
vyゆりyv@ Re[1]:羅刹 -192-(09/14) 千菊丸2151さん だらだら更新に最後まで…
千菊丸2151@ Re:羅刹 -192-(09/14) 漸く完結しましたね。 ちょっと後味が悪い…
vyゆりyv@ Re[1]:羅刹 -190-(09/08) 千菊丸2151さん 花山院皇女は惚れた弱み(…

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析
2013年10月07日
XML
カテゴリ:遠き波音
 あれは、多聞丸が五歳になった頃のことだろうか。

 隣家についての多聞丸の記憶はそこから始まっている。今日のように、明るい日差しの中で桜の花びらの舞い落ちる、ある晴れた暖かい春の日だった。

 父に手を引かれた多聞丸は、初めて隣の中務大輔の屋敷に行った。その日は、中務大輔の十三歳になる娘が裳着の式を行う吉日であり、父はその賓客として招かれたのである。

 内輪の式ということで、腰結い(注)は父親の中務大輔自らが行い、その後は父と中務大輔が談笑するだけの小さな祝いの宴となった。その間、幼い多聞丸は小さな膝を丸め、じっと身じろぎもせずに座っていた。その辛抱強い様子に、中務大輔は微笑みながら父に言った。

「これはまた、何と行儀の良い若君か。それに利発そうで。先が楽しみでござるな」

「いやいや、普段は手のつけられぬ悪戯(いたずら)者で」

「なんの。羨ましい限りでござる。うちには、ほれこの通り、姫がただ一人しかおりませぬでな」

「いや、こちらの方こそ、羨ましいもの。このように美しい姫君は、今まで見たこともない。この子の年がもう少し上だったなら、ぜひ姫君の婿にしていただきたいものだ」

 父は笑いながら多聞丸を小突いた。中務大輔も微笑みながら、側の几帳の陰に話し掛ける。

「右兵衛督殿の若君なら、こちらからも是非お願いしたいもの。のう、吉祥?」


*注=女子の元服である裳着の式の際、装束の裳の腰紐を結ぶ役のこと。男子の場合の烏帽子親にあたり、本来は後見役となる貴人が行うのが習い。


にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ
↑よろしかったら、ぽちっとお願いしますm(__)m


↓十二単を着た私(笑)。背後に長く曳いている白いものが「裳」です。この写真ではよく見えませんが、上部が後背部を覆うくらいの幅になっており、その両脇から長い紐が出ています。これを前に回してぎゅっと結ぶというのが、腰結い役の務めというわけです。


  • 伊勢9





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013年10月07日 16時04分26秒
コメント(0) | コメントを書く
[遠き波音] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.