『㈱貧困大国アメリカ』2
図書館で『㈱貧困大国アメリカ』という本を手にしたのです。大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。【㈱貧困大国アメリカ】堤未果著、岩波書店、2013年刊<「BOOK」データベース>より「1%vs99%」の構図が世界に広がるなか、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食、街、政治、司法、メディア、暮らしそのものを、じわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!? 日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。<読む前の大使寸評>大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。rakuten㈱貧困大国アメリカ遺伝子組み換え作物が述べられているので、見てみましょう。p78~81 <業界関係者だらけのFDA> アイオワ州のトム・ハーキン上院議員によると、1995年から2003年の間にUSDA(農務省)から支払われた農作物助成金は約1000億ドル(約10兆円)、うち七割は上位10%の巨大アグリビジネスに流れたという。こうした助成金で自国の農業を保護する国は少なくないが、アメリカでは過去数十年で、その受給者が小規模農家からアグリビジネスに上書きされていった。 シャーマン博士はこうした公的資金の無駄を撤廃するというオバマの公約が、就任後百八十度翻ったと批判する。 「オバマ大統領は選挙時の公約と真逆なことをやりました。食の安全に関わる要職に、業界関係者をずらりと任命したのです。 FDA(食品医薬品局)の上級顧問には、遺伝子組み換え種子の最大手であるモンサント社の副社長マイケル・テイラー。農務長官には、元アイオワ州知事で、自治体によるの発案者デアルトム・ビルサック。これでは規制される業界の人間を規制する側に入れているのと同じです。 オバマ大統領の就任で、やっと食品業界と政府の間の回転ドア人事にメスが入るかと思ったが、これでは垂直統合と規制緩和がまた進み、業界はさらに巨大化するでしょう。結局のところ、彼も歴代大統領と同じだったのです」 だがマイケル・テイラーに関しては、回転ドアが回るのはこれが初めてではなかった。 1992年にFDAが「遺伝子組み換え作物を実質的に通常の食品と同等に扱う」ことを発表した際、モンサント社の顧問弁護士を経て、FDAのGM作物政策担当副長官の座に就いていたのはテイラーだった。 彼はFDAの食品ガイドラインからGM表示義務を削除し、企業のGM作物安全評価データの一般公開を免責した。GM作物市販製品第一号である、モンサント社製「遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rBGH)」を承認し、同ホルモン剤を投与した牛の牛乳について、ラベル表示を不要にしたのもテイラーだった。 牛に注射すると牛乳の生産量が三割増産するこの成長ホルモンは、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランド、日本、国際食品規格委員会など27カ国といくつかの国際機関で禁止されている。 モンサント社が安全性を主張する一方で、通常2年は必要とされる長期的影響のテストデータの不在、モンサント社による90日間の自社試験結果の非公開、投与した牛の乳房感染症増加と、rBGHミルクに含まれる、人間の乳ガン、結腸ガン,前立腺ガンに関係する高レベルインスリン様成長因子(IGF-1)、牛乳への膿汁混入がもたらす抗生物質の過剰使用など、安全面への懸念からの禁輸措置だ。 だがFDAは今も「健康に影響はない」としてrBGHを承認し続け、全米の牛の三割が、週二回rBGHを注射されている。先進国で唯一rBGH入りの牛乳を飲み続けているのは、GM表示義務のないアメリカの国民だけなのだ。 テイラーは94年に食品安全検査局行政官に就任し、その後政府を離れてすぐモンサント社の副社長に「栄転」している。 シャーマン博士の言うとおり、いくら大統領選挙期間中に立派なことを豪語しても、就任後の本音は予算や人事を見れば一目瞭然だ。 オバマ大統領は今回新しく、議会の承認が不要なUSDA(農務省)直属機関である食料農業国立研究所を政府内に設立、所長にはモンサント社が出資するダンフォース・プラント科学センターのセンター長だったロジャー・ビーチーを指名した。ビーチーは大統領選挙の際、オバマ陣営の選挙資金に大きく貢献した一人だ。 TPP交渉における要職である、USTR農業交渉主任には、以前クリントン政権下のUSDAでバイオテクノロジーを推進したイスラム・シディキが任命された。彼は世界の農薬市場の四分の三を占めるモンサント他五社を代表するロビー団体「クロップ・ライフ・アメリカ」の副社長でもある。『㈱貧困大国アメリカ』1