伏見稲荷大社御旅所(京都・南区)
近鉄京都線に乗っていると、「京都」駅の手前に急にポッカリとグリーン地帯が見えてくる。社も見えるし、こんな所に神社?って、思ってました。ちょうど、イオンモールの向かいにあるこの神社に行ってみる事にしました。地図で確認すると、「伏見稲荷大社御旅所(Husimiinari-taisya-otabi-syo)」というらしい。「伏見稲荷大社」だって?あの伏見区にある?でもって、御旅所?って何だっけ。調べてみると、神社の祭礼において、本宮から神が神輿に乗って巡幸の途中に休息する場所なのだそうだ。以前は、他にもあったらしいが、豊臣秀吉(Toyotomi Hideyosi)がこの場所1カ所にしたのだとか。南鳥居から入ります。境内の中央部分、ほとんどの面積を大きな樹々が占めている。建物はみんな外側に寄っているイメージだ。東側には、イオンモールをバックに、4つの小さな社が並んでいる。左から、下命婦社(ご祭神:下命婦大神)・上命婦社(ご祭神:上命婦大神)・稲荷社(ご祭神:稲荷大神)・大神宮(天照大神・豊受大神)。この様に大きな樹々が茂っているのが、高架を走る近鉄電車から見えるんです。南側には、かつての手水鉢…かな?西側には、一丸大明神。 ちょっと、点が外れてる? 玉垣にグルっと周囲を囲まれているのだが、何気なくふと見ると「大阪市 堀江遊郭中」の文字が。大阪西区の堀江には、かつて遊郭があったらしい。売春防止法が施行された1957年に消滅したというから、昭和の中頃まで存在したんだ。左奥に見えるのが、「奉安殿」。手前の建物が「舞殿」。「奉安殿」には、稲荷祭の間、5基の神輿がお留まりされる。稲荷祭とは、かつて「京都の三大祭」(加茂祭・祇園祭)の1つとして数えられていた行事。大神が年に1度、神輿に乗って産土地を巡幸するのだ。 神幸祭(Sinko-sai)…「伏見稲荷大社」を出て1時間かけて、「伏見稲荷大社御旅社」に到着。 氏子祭(Ujiko-sai)…5基の神輿が氏子地域を巡回。 還幸祭(Kanko-sai)…「伏見稲荷大社御旅所」から「東寺(To-ji)」(世界遺産)の境内にあ る「八幡宮」前に神輿を奉納。「伏見稲荷大社」に戻る。この3つの神事を合わせて稲荷祭と呼び、約半月の工程で執り行われる。「舞殿」では、稲荷祭の氏子祭の際に、六斎念仏踊(重要無形民俗文化財)が奉納される。今日は、板で覆われているので、中を見る事ができない。北鳥居。実は、「伏見稲荷大社」の氏子さんは、伏見にはいません。この南区や下京区にいるんだとか。稲荷祭は遠く離れた氏子さんのために、神様が出張してくれるんだ。 『稲荷大明神流記』によると…。 空海(Kukai)が、修行のために紀州国の熊野で、稲を肩に荷った常人とは思えない威厳のある 翁に出会った。その翁は自分を稲荷神だと名乗り、またの再会を告げる。 後日、「東寺」の南門にあの翁が、2人の婦人と2人の子供を連れてやって来た。 喜んだ空海は、おおいにもてなし、近くの柴守長者の屋敷に宿泊させた。その屋敷があった場所が現在の「伏見稲荷大社御旅所」で、その子孫がその神主となったという事だ。 「東寺」の「八幡宮」。 (2017年7月中旬現在)