「驚きの手話『パ』『ポ』翻訳」
驚きの手話「パ」「ポ」翻訳何げなくつけていたNHK教育テレビで、手話の授業をやっていました。といっても、いわゆる「手話講座」とはちょっと違います。男の人がものすごいスピードで手話を扱い、黒板を使ってその文をどう表現するかを、どんどん紹介していきます。10人くらいの生徒が、一生けんめいノートをとっています。その後、カメラはスタジオへ。さっきまで講師をしていた先生と、司会の女性とのお話です。先生は米内山明宏(よないやま・あきひろ)さん。先生の話から、さっきの授業は手話の「翻訳」の話だとわかりました。手話にも「通訳」と「翻訳」がある。こんな当たり前のことに、私は初めて気づきました。手話では「仕事」と「会社」が同じ。だから気をつけないと「仕事がうまくいかない」を「この会社ではダメだ」ととらえかねない、とか、「この仕事、私には合わない」というのを「一生けんめいやったんだけど、うまくいかない」いうニュアンスをどう出すか、などなるほどなー、という話が多かったです。先生は「今までの手話のトレーニングには、翻訳の視点が欠けていた」と話します。お友達と話が通じればそれでいい、程度の手話でみんなが満足していると、健常者に手話をきちんと習得してもらうことができない。手話も一つの言語として文法などを体系的に整え、それを「本」を通してきちんと伝えるためには、「翻訳」が重要だ、と。また、この本にある「パ」「ポ」という意味もおしえてくれました。手話には「パ」「ピ」「プ」「ペ」「ポ」で感情を表現するやり方があるのだそうです。口の形で素早く伝えられるので、とても便利だとか。「でも、このことを、健常者の通訳は知らない。知らないので見逃してしまうのです」顔の表情もまた、大事な「手話」なのですね。私は手話をあまりよく知らず、「ありがとう」とか「おいしい」「ところで」「いっしょに」くらいしかわかりませんが、この本は、一つの「言語」としての手話の魅力が詰まっていそう。手にとって見たい一冊です。