馬のしっぽと分散率
アスベスト(石綿)は、飛来した繊維を大量に吸い込むと健康被害が出ると言われ、あまりイメージが良くない鉱物ですが、そのアスベストが、大活躍している宝石があります。アスベストの繊維の細さは、髪の毛の5000分の1それが、宝石の中に閉じ込められると、ホーステイル(馬のしっぽ)と呼ばれる放射状のインクルージョンになります。これはデマントイドガーネットに特徴的なインクルージョンです。デマントイドは、カルシウムと鉄を含むアンドライトというガーネットグループに属します。すべてのデマントイドにこのインクルージョンがあるわけではなく、ロシアのウラル山脈のように角閃石や蛇紋岩質の産地、つまり堆積されたアスベストから発見されます。硬度が6.5とガーネットグループの中でも低い為、宝石レベルでは5mm以下、0.5ct以下のものが大半です。このホーステイルがほしくて購入した私のデマントイドも↓約4mm,0.28ctというサイズ色は明るい緑だけど、デマントイドのもうひとつの特徴、ダイアモンドのような輝きが、あまりないです・・・・ ̄ー ̄;そこで、今度は、輝き優先で探した、マダガスカル産デマントイド、約4.5mm,Total 0.81ct(淡い緑ですが、実物はもっと緑が強いです^^;)太陽光、蛍光灯、イエローライトでも綺麗な輝きがあります。ダイアモンドのような虹色のファイアーとは行きませんが、黄色とオレンジ、黄金のようなキラっとしたファイアーが確認できます。ロシアのウラル山脈産出のデマントイドは、酸化クロムが緑の起因ですが、マダガスカル産は鉄イオンによるものです。マダガスカル産は石灰岩層から発見される為、残念ながらホーステイル・インクルージョンはありません。そのかわり・・・直径4.5mmの宝石の中に広がるインクルージョンの世界に、ミネラルやフェザーが広がっています。フェザーは、閉じ込められた自然の割れです。宝石のインクルージョンは、地中深くで形成された時の「太古の記憶」であり、その宝石の魅力ある個性だと私は考えるのですが、宝石の輝きという観点から見ると、輝きを邪魔してしまうことがあります。でも、デマントイド、これだけインクルージョンがあっても・・・・・・・・・・・・笑顔で輝いています・・・・・ これは、光の分散率が高い為で、(分散率0.057、ダイアモンドの0.044より高いですね)光が宝石の中で舞い踊っている状態です。(宝石に入射した光が内部で跳ね返る)それを最大限に求めるならブリリアントカットがお薦めですね*^-^*クリソベリルもそうですが、緑色の宝石を写真に撮ろうとしても実物とは違う緑色になります。何度も試みているのですが・・・あ~あぁ。