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カテゴリ:日々の読書(ミステリー)
新しいものがいいとは限らないが、古いものも全ていいとは限らない。ましてや、それが、人を不幸せにするような因習であれば、弊害しか残らない。 「津和野殺人事件」(内田康夫)はそんな古き因習に縛られた、津和野の旧家をめぐる浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。 樋口実加代の母・久美には、行ったはずの無い、津和野太鼓谷稲成の記憶があった。二人は、その記憶を確かめるため、津和野にやってくる。 一方、巣鴨のとげ抜き地蔵へお参りに行った浅見光彦の母・雪江は、染井霊園で男が死んでいるのを発見する。死んでいた男は、津和野きっての旧家朱鷺家の分家の当主朱鷺勝蔵であった。勝蔵は、他人の墓を暴こうとしているところを殺されたようだ。その墓の持ち主である神津家の当主初男の叔父洋二が、島根県江川に死体で浮かんでいるのが発見される。 光彦は、津和野に向かい、樋口母娘と朱鷺家の因縁に関わっていく。そして更なる殺人が・・・ 津和野は、ついこの間行ってきたばかりであるが、小京都の風景がうまく織り込まれているのみならず、津和野の歴史や、維新後の新政権で果たした役割なども、良く取材されていて、非常に面白い作品になっている。小説の面白さのみならず、この作品を読めば、いっぱしの津和野通にもなれるであろう。 なお、朱鷺家は架空の存在であるが、設定は、中国地方の鉱山王だった堀家をモデルにしたようである。でも、朱鷺は佐渡のもので、津和野なら白鷺だよね。 ○ブログランキングに参加中。記事が気に入ったら押してね。 ●「人気ブログランキング」 ⇒ ●「にほんブログ村」 ⇒ 「写真は津和野・殿町」 風と雲の郷 別館(gooブログ)はこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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