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カテゴリ:日々の読書(コミックス)
先般「鋼の錬金術師」が最終回ということで、掲載誌の「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)がすぐに売り切れたことで話題になった。その「鋼」の作者である荒川弘(あらかわひろむ)は、北海道の農家の生まれで学校も農業高校の出身だそうだ。だから、農業や食糧問題に関しては一家言あるようだ。「百姓貴族(1)」(荒川弘 :新書館) は、そんな荒川氏の北海道時代の生活に基づき、農家の実態を面白おかしく描いたエッセイ風漫画である。なんでも、キャッチコピーによれば、「日本初☆農家エッセイ」らしい。もっとも、農家と言っても、なんといっても、「でっかいどう、ほっかいどう」である。たぶん、こちらの方の農家を考えると、だいぶイメージが違うのではないかと思う。 なお、この漫画は「月刊ウィングス」(新書館)に連載中である。ちなみに、荒川氏が女性であることは、うちの子から教えられて、初めて知った。
○百姓貴族(1)(荒川弘 :新書館) 荒川氏の実家は、畑作と酪農をやっているようだ。繁忙期の1日を描いた円グラフが掲載されているが、これがなかなか厳しい。何しろ、食事時間を除けば、朝5時から夜12時まで、畑仕事や牛の世話で働きづめ。僅か5時間の間に、睡眠をとり、洗濯をし風呂に入る。とても、私にはまねができない。それにしても、こんな生活の中で、荒川氏は、いつ漫画の勉強をしたんだろう?おまけに、自然を相手の仕事だ。台風などによるリスクもある。台風により、敷地内の川が氾濫し、牛の運動場がきれいさっぱりと洗い流されてしまったこともあったそうだ。なお、北海道では、敷地内を川が流れているのは普通らしい。さすがは北海道だ。 しかし、描かれている日常は、まさに抱腹絶倒。特に、荒川氏の農業高校時代の様子は面白い。しかし、ただ笑えるだけではない。ちょっぴり涙を誘うような話もある。牛は頭の良い動物で、人の言葉もある程度解するようになり、自分が肉として売られていく時も分かっているというのだ。たまに涙を流す牛もいるらしい。まさに「ドナドナ」の世界である。 北海道で酪農をやっていたため、牛に関する話題が多いだけでなく、作者自信も、なぜか牛の姿で描かれている。作者によれば牛は人になついて「かわいいし!! 強いし!! なにより美味い」らしい。そんな牛に対する思いがたくさんと詰まっている、ユーモアとペーソスに溢れた、とても面白い農家エッセイ漫画だ。 ○ランキング今何位? ○姉妹ブログ ・「文理両道」 ・「本の宇宙(そら)」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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