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カテゴリ:Japan National Team
1996.7.21 米・フロリダ マイアミ
       ~オレンジボウル~

日 本
GK 川口 DF 松田 田中 鈴木秀 MF 伊東 服部 遠藤彰(75分 白井) 路木 中田英(81分 上村 )前園 FW 城(87分 松原)

ブラジル
GK ジーダ DF ロベルト・カルロス  アウダイール  ロナウド  ゼ・マリア MF アラマウ(46分 ゼ・エリアス)  F・コンセイソン  ジュニーニョ  リバウド FW サビオ(79分 ロナウジーニョ)  ベベット



   
    日 本 1 - 0 ブラジル
    (72分 伊東)

“マイアミの奇跡” 成し遂げられた驚愕のアップセット 
23歳以下の大会となって2度目のオリンピックサッカー。28年もの長いトンネルを抜けてアトランタに到達した日本はブラジル、ナイジェリア、ハンガリーと予選リーグで同組となった。
初戦で当たるブラジルはアウダイール、リバウド、ベベットの3人のオーバーエイジ枠をフルに使い、唯一獲得していないタイトル、「五輪の金メダル」を獲りに最強メンバーを送り込んできた。一方、日本は23歳以下のみの選手でメンバーを構成。これは大会前に物議を醸した問題となったが、西野監督はコンビネーション確立の時間の少なさを理由にアジア予選から大幅なメンバー入れ替えを行わなかった。
しかし初戦を迎える直前で先発の変更を強いられる。ボランチ廣長のコンディションが上がらず起用を断念、急遽左アウトサイドの服部を代わりに置く布陣を取る。そして左MFには路木を起用。この采配が最終的に勝負を分ける重要なポイントとなった。
圧倒的な実力差のある両国の対戦は、「サッカーの試合では、たとえとんでもなく強い相手でもやり方如何では守り切れる」という方法論を示して日本が歴史に残る偉業を果たすことになる。

相手は万全のセレソン 服部のエース潰しがカギを握る
フル代表ではないと言え、このメンバーでワールドカップも十分戦えるブラジル。日本はこの難敵との初戦に照準を合わせ調整を進めてきた。決勝戦をピークに持っていく予定でいるブラジルとの意識の差は試合開始から微妙に感じられた。2分、左サイドのオープンスペースへ出されたパスから路木が駆け上がる。深くから見事なクロスを入れ、中田英がロベルト・カルロスと互角の空中戦を演じるもミートできず。しかし少ないであろう攻撃のチャンスをまず序盤で得たことにより、日本に落ち着きが感じられるようになる。自陣に張り付くだけの守備ではなく、しっかりと相手をケアし早目のカバーリング意識を持ちながら、前園、中田英に粘り強く繋げるスタイルがこの日のブラジル相手にははまった。
ブラジルの攻撃の核はジュニーニョ。スピードに乗ったドリブルで切り込みながらチャンスを演出するMFで、ブラジルはジュニーニョがボールを持った時に一斉に前を向く。この大会屈指のテクニシャンを如何に抑えるかが日本の焦点になった。そしてその役を担ったのが服部だった。
前半のブラジルは比較的スローテンポではあったが、やはり攻撃になると鋭い。10分、ジュニーニョがハーフェイラインから伊東、服部をかわし、ゴール前でベベットのワンツーから松田のファウルを誘う。FKをベベットが狙うが壁に当たり川口が抑える。13分、右サイドでまたもベベットが松田のオブストラクションからFKを得ると、そのFKにアウダイールがヘッドで飛び込むが枠を外す。ブラジルはフィニッシュに雑さが目立ち、またドリブルが多い為に最後まで集中して守る日本のチェックをなかなかかわせない。
日本は前園、中田英にボールが渡るとすぐにカウンターの体勢に移るが、やはり攻撃に人数をかけられない分苦しい。3列目から伊東が上がってきた時などはやや楽になるが、ワントップの城は実質潰れ役に等しく、そして何と言ってもアウダイールの中央は固く容易に崩せない。
ブラジルはフィールドプレイヤーすべてが絡んでいくような攻撃をじわじわと開始する。18分、サビオが左サイドで決定的な低いクロスを入れるが川口が何とか防ぎ、24分、ゼ・マリアが路木をかわして入れたクロスにロベカルがヘッドを放つがポスト左に外れる。27分、28分には連続してリバウドがゴール前でFKを得、いずれもロベカルが得意のアウトフロントにかけたキックで狙うも川口の正面を突く。30分、F・コンセイソンのシュートがリバウドに当たり、はね返ったボールにジュニーニョが川口と1対1の曲面を迎えるが、川口の飛び出しが早く抜群の反応でセーブする。
ジュニーニョは確かに危険な存在だったが、圧巻というほどではない。服部のマンマークは効いていた。常に目を離さないギリギリのディフェンスで抑え切り、ブラジルのキーマンの攻撃力を低下させることに成功。リバウドからの起点のクサビのパスも前半は影を潜め、個人で打開しようとする意識が高い分、CBの田中も冷静にアラマウ、ゼ・マリアの攻め上がりに対処できていた。
前半はとにかくディフェンスだった。ブラジルにペースを握らせてもまずは失点をゼロに抑える。大量失点で最悪のスタートを切れば、これほど強い相手だとなかなか修正は効かない。ブラジル相手に勝ち点を取るためには、奇跡を起こすのでなく大崩れすることなく忠実なプランに従って試合を進める。日本はロスタイムにジュニーニョのFKからのボールを伊東が大きくクリアして前半を終了させ、まず当初の目的を達した。

襲いかかる手負いのブラジル そしてついにビッグサプライズは訪れる
前半をノーゴールで終えたブラジルは後半、激変した。まずアラマウに代えてゼ・エリアスを投入しワンボランチとし、F・コンセイソンを前に動かした。監督のザガロは暗雲が立ち込めつつあるのをまだ認識していなかった。攻めても攻めても点が入らないという試合は確かにある。しかし優勝を義務付けられたチームが初戦で、しかもまだW杯に1度も出場したことのない国を相手にその試合をやってはならない。
後半開始直後、いきなりロベルト・カルロスのクロスからベベットが決定的なヘッドを放つと、50分、ジュニーニョのFKは左ポスト横に外れる。51分にはサビオからの右CKを川口がパンチで逃れたもののそのボールにF・コンセイソンが反応してシュートを打つが川口の正面に留まる。52分、リバウドのサイドチェンジからゼ・マリア→ジュニーニョと繋がって放り込まれたクロスがクロスバーを叩き、あわや失点のシーンを招く。
防戦一方の日本だったが、服部→ジュニーニョ、鈴木秀→ベベットの徹底マークが奏功しており、苦しい場面も何とか凌いでいた。そんな中、時折(前半も数回)路木の前に大きくスペースが空き(ゼ・マリアの戻りが遅いということもあるが)、そこを突いていけるチャンスがあり得点への伏線は早くから顔を覗かせていた。
「こんなはずではなかった」ブラジルは攻撃にさらに厚みを増していく。59分、ベベットが左から遠藤彰をなぎ倒し、田中もかわしてシュートするがブロックにいった服部の足に当たり、浮いたボールにサビオがヘッドを放つも川口がキャッチし、60分には、上がる回数が増えてきたアウダイールがミドル。しかし川口が正面で難なく抑える。これだけ攻められても、日本の選手の足はまだ止まらない。できるだけスペースを与えず人に食らいつくディフェンスが続く。
64分、ブラジルは当時まだオランダのPSVに所属していた19歳のロナウジーニョ(=現R・マドリッドのロナウド。アトランタでの登録名。ロナウドが2名いたため。現バルセロナのロナウジーニョではない)をサビオに代えて投入。とうとう温存していた怪物を出さざるを得なくなった。66分、F・コンセイソンからのスルーパスにベベットが反応するが鈴木秀がうまくコースを防いでいたため、シュートは川口の正面に収まる。未だゴールなし―。ブラジルの不振に業を煮やしたブラジルサポーターが67分にピッチに乱入しゲームに水を差せば、ザガロ監督はスローインのボールを怒り心頭の表情で自ら選手に投げよこす。
風向きが変わったのは、そんなときだった。72分、ハーフェイラインで前園がキープ。左に大きく空いたスペースに進んだ路木にボールが渡ると、城をめがけてやや早目のタイミングで山なりのフワリとしたクロスを送り込む。前半からほとんど出番らしい出番がなかったGKのジーダはボールだけを見ていた。またそこに残っていたアウダイールも同じだった。ワンバウンドで大きく弾んだボールと城を挟み込むようにして2人のブラジル人選手が空中で交錯した。同時にボールはアウダイールの頭に当たって、ブラジルゴールへ一直線にこぼれていった。放っておいてもオウンゴールだったが、そこに運良く走り込んでいた伊東がプッシュし自らのゴールへと変えた。その瞬間、日本でどれほどの数の人間がコブシを高く突き上げたかしれない。
ここからが両チームにとって時間との戦いになった。74分、リバウドの長いドリブルを服部、田中が止めに入るが、ジュニーニョとのパス交換で突破されそうになり、鈴木秀が辛くもファウルで抑えたものの警告を受け、さらに額は流血する。75分、日本は遠藤彰に代えて白井を投入し右サイドを守備固めに入る。その直後、ゴール右スミを狙ったベベットのFKは川口が間一髪でセーブしCKに逃れる。78分、CKのこぼれ球を左からベベットが再度折り返し、ロナウジーニョがヘッド。川口は思わず見送ったが、かろうじて右ポストを叩く。
81分にはジーダと競って負傷した中田英に代わって上村が入り、86分、服部がゼ・エリアスに気迫のタックルを見舞いイエロー。87分、城に代わって松原をが投入され、日本は守っていた時間から守り切る時間へと移行していく。その直後にF・コンセイソンのクロスにアウダイール、リバウドが突っ込んだが、鈴木秀がボールをゴールライン手前でクリア。ベンチでは西野監督、マリオコーチがしきりにに腕時計に目をやりレフリーの顔を窺う。猛攻に継ぐ猛攻はもはや攻める方も守る方も、まるで2試合分戦ったかのようだった。そしてロスタイム2分20秒経過したのち、ついに日本勝利のホイッスルが鳴った。その瞬間、日本でどれだけの数の人間が狂喜したかしれない。ブラジルにはぞっとするような大ブーイングが浴びせられた。
大金星、大番狂わせ、快挙―。ブラジル戦勝利後は数多くの日本を称える文字が並んだ。しかしこの予選グループで本当の難敵となったのは2戦目のナイジェリアであったこと、ブラジルにはなくてもナイジェリアには勝ち点の計算がある程度あったことは、皮肉なことである。もっと言えば、U-23はAマッチではない。まだ日本はブラジルに勝ったことがないということもまた事実である。









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Last updated  2006.03.05 21:27:57
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