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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:今日読み終えた本
題名:「しゃべれどもしゃべれども」 著者:佐藤多佳子 発行:新潮文庫 頁数:421 読みやすさ:3/5 おすすめ度:5/5 江戸前の若手落語家が主人公で、ひょんな事から集まってきた面々との“鬼 気迫る”というか“心温まる”というか、なんともいえない非現実的なストーリーな んですが、なぜか引っ張り込まれました。 主人公の家で開かれる落語教室をベースにいろんな事件や心のやりとりが展 開されるのですが、集まった面々はそれぞれタイプが違うものの、壁に当たって 自信を失い、なのにどこかで強がって、なにか薄いガラスでできたナイフのよう な危なっかしい性質を持っています。 当然まとまりもなく、主人公の落語家を中心にした放射状の関係をつくってい て、一見横のつながりがまったくないような、不思議な関係を形成しています。 それぞれの悩みに入り込んでいく主人公が、自分自身の悩みの状況とあわせ ていくところが人間らしく感じました。 登場人物の中では、特に小学校5年生の男の子のとんがり具合やら気持ちの 動きが読んでいてホントにハラハラドキドキさせられました。「え~あとどうなるん かなぁ」と先を読ませる著者の技にしてやられるような気がしました。 風景や状況の描写はややしつこい感じがするものの、他の登場人物も含めて、 心の動きを表現するのはとてもうまいと思います。 ストーリーを振り返ると、とても現実にない設定で、登場人物もここまでそろっ てることは考えにくいのですが、それ以上に“人の心の弱さを認めながら、その 先をどう生きていくか”みたいな大きなテーマを感じさせる長編小説でした。 ところでこの作品も映画化が決まってるみたいですね。 最近本がちょっと売れると映画やドラマにすぐなってしまって、しかも原作とスト ーリーが変わっちゃってたりして、釈然としないことが多いのですが、これはどう なんでしょうか。 読むのが先か?観るのが先か? 5月に公開されるみたいなので、読むのが先、という方ははお早めにどうぞ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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