オーラの泉・家族の学び・小室哲哉さん2
音楽のプロとなるために、早稲田大学を中退、1984年にTM NETWORKでデビュー。注目されたのは1986年、渡辺美里さんに「My Revolution」の曲を提供したとき。翌年にはTM NETWORKも「Get Wild」で人気を博し、その後は数々のアーティストに楽曲を提供する大ヒットメーカーに。CDの売り上げは合計1億7000万枚、ヒットチャート1位から5位まで独占、4年連続レコード大賞受賞などの記録を打ち立て、1996、97年には長者番付全国4位に。1995年には、後にパートナーとなるkcoさんと出会い、globeを結成。仕事は頂点を極めるほど充実していたものの、プライベートな生活はないに等しい状態だったようです。国「こうやってみましても、本当にすごい人生ですよね。全国で長者番付の4位に入ったというような…」小「何一つ、実感がないですね」国「その時代ですか?それだけお金が入りましたから、結構、使ったりとかもしたんじゃないですか?」小「使ったとは思いますけれど、その時は独身で…何かこう、守るものもなくて…」国「家族がいるわけでもないから…」小「『どうでもいいや、別に…どうにもなっちまえ』という、結構、投げやりな感じでしたね」国「あの…素朴な質問なんですけれど、従兄弟とかのお年玉って、いくら位、渡していたんですか?☆」小「真面目に話すと、そういうのはきっと、誰かがやっていたと思いますね」国「あ、ご自分でやられているのではなくて、スタッフさんが…」小「いったい自分のお金が、どの位の額が、どの位の人にまで、オートマチックに流れていっていたのかも、わからないですね」国「うわあーすごい☆…少なくとも、僕のところには来なかったですね、そのお金は☆」美「まるでお殿様ね☆『良きにはからえ』でね、おしまい」小「裸の王様ですよね…王様って言われていったのも、ちょっともう『違うな…』と思ってましたけれどね…」美「でも、精神的にいかがでした?」小「…あの…もう、何回も何回も、1,2年で昔のVTRを観たりしているんですけれども…やっぱり、本当に笑っていないんですよね…どこを切り取っても…」美「いえね、いまお話していて、何度か笑っていらっしゃるでしょう?『あら、小室さんも笑うんだわ』と思ったの☆」国「ああ…その当時のイメージだと、何か…」江「実はね、さきほども映像が出ていましたけれども、まるでオーラが違うんですよ、今と。あのね、赤(情熱 頑固さ)なんだけれども、どす黒い赤があってね、多分、思考する時間がなかったんじゃないかと…あの、何か自分のことを考えるとかというよりも当時はもう、常に音楽を作ることしか考えがなくって、それでいて『時間、時間、時間…』全部せっつかれて、全部それで動いていて。今の方がまるで違うというのは、まったく穏やかな綺麗な紫(情愛)があって…ちょっと後で申し上げたいことがあるんだけれども、全然、別人なんですよ。だから今は、人生を見つめるとか、要するに内観というんだけれどもそういう時間をよく持てているけれども、あの当時は持てない…ごめんなさいまともに寝てもいなかったんじゃないですか?」小「いつ寝て、いつ起きてるか、何を食べたんだかも…そういう…」江「現実と、うつつと、何かもう、わからないようなね」小「そうそう。後はやっぱり、消したいというか、記憶から抹消したいことが多いですから…」国「数々の賞を、その当時は総なめしたと思うんですけれども、その評価は嬉しかったですか?」小「いや、別に…嬉しくないとは言わないですけれども、有り難いとは思いますけれども…ただ、そこに向けて頑張ったということではなかったりとか、その…流れですからね…まあ…とにかく、訳分かんなかったです、ずっと…☆」国「4日に1曲という計算なわけですよね、1年で90曲書いていたら」小「曲を作るための時間、一日でそれ以外の時間というのは、ほとんどなくて…ただ、音楽、曲に対する愛情だけは、消したくなくて…音楽にだけは、妥協したくなかったですね。楽曲にだけは…」江「作るというよりも、そこが一番、対話している時間でしたね、自分自身と」小「そうですね。僕、もし歌が上手かったら…歌は駄目なんですけど☆シンガーソングライターで歌っていたと思うんですけど。詞は女の人に書いている、女性のが多いんですけれど、ほとんど自分のことですよね」江「人ってよく、独り言っていうじゃないですか。特に自分自身の中で何か考えている人ってよく知らないまに独り言をいう。だから、独り言の、もっと究極の形で音楽と通じていてね。あるときは友達だったり、あるときは自分だって、自分に言い聞かせていたりそういうような形が、逆にすごくエナジーがこもっていて、表に出たということなんでしょうね」小「理想も入れましたし、夢もですし…まずいですね、完全に『オーラペース』になってますね☆」美「でも小室さんの人生って、今こうやって笑っていらっしゃるのが不思議なくらいのねずーっと笑いのない人生なのよね。微笑みのない人生、小さい頃からずっとそうなの」江「こんなことを言ったら、本当に申し訳ないけれど、よく頑張って生きてこられたなあと…」美「普通だったらね、笑い方とか微笑み、どうやって笑っていいんだか微笑んだらいいんだか、忘れるような人生でいらしたのよね」国「あ、そうなんですか…」小「そうですね…まあ…何回も…『駄目かな…』という風に思ったことが、もう何度も…」国「それはデビューする前も、デビューしてからもですか?」小「してからもですね」美「孤独がね、もう怖くてね。もう、ひとりぼっちは怖くてしょうがないから大勢の中にいたいのね。大勢の中にいたいんだけど、それでねいろいろコミュニケートされると、うるさいの。だから、一人でいたいの」国「大勢の中に、一人でいたい…」美「そう」小「その通りですね☆」江「常にコミュニケーションを望んでいないわけじゃないんです。常に期待はしているんだけど、時間がなかったりとかいうことが、ずーっと続いていて家族とか、友人とか全部が、その…ある意味では鍵盤であったり、詞の中であったり人との関わりを…ごめんなさい、結婚なさるまで、今の奥さまに出会うまで本当の意味で、人との会話ができていなかったんじゃないかと…ごめんなさい」小「なかったですね、はい…」国「さきほどのチェックの中にもありましたけれども『この世からなくなると困るもの』は、奥さんと…どんな存在ですか?」小「子供ですね☆」美「どちらが子供ということですか?」小「僕…ですね…」美「あちらからみてね。小室さんが子供ということ、そうでしょうね」小「14も上なんですけどね☆」美「人間というものを信じられることができたのは、初めての方じゃない?」小「はい、初めてです、はい…」江「ましてや奥さまだけじゃなくて、奥さまのご家族も含めての結婚という感じ…だから、全てを得たんですね。もちろんご実家もあって、デビューもなさっているけれども常にお一人、自分と自分との対話だったのが、奥さんとご家族と一気に新しいお家に生まれたみたいな気分というか、そういうようなね…だから人生がまるで変わったんです」国「どうですか?」小「そうですね☆はい…」江「だから本当に『あ、お母さんってこうなのか』『お父さんってこうなのか』『家族ってこうなのか』『あ、親戚?ああ、身内?あ、こういう風な感じなのか』それを全然、ビクビクとすることもなく、いつの間にかスポッと入れられちゃったような感じ。今まで、いろんな意味で孤独を味わってきた部分の、ご褒美でもあったりするんです」国「やはりご家族の影響はありますか?kcoさんのご家族…」小「初めて、家系というか、親とか親類とか、そういうものがこういう風に成り立っているんだとかを、ここ何年かで学びました。本当に何も知らなかったんだなっていう…一年の季節の中でのお祭りとかいろんなところに行くとか☆お盆とか、いろんなあらゆる行事とか、『こんなに知らなかったのか』というくらい☆『花見ってこんなに大事だったのか』とかね」国「新鮮に感じるわけですか」美「だけど小室さんだけじゃなくて、あの、世の中に生きてる人ってね、『花祭り、七夕祭り、ああ、いいな』とかね、そういうものが情緒としてフッと感じられるという人は、現代の人は少ないんじゃない。それを、いみじくもずーっとそれでいらした。現代の、申し子みたいな方だから」江「確かに現代の申し子みたいかもしれませんね。それで衣・食・住においてまったく頓着ありませんでしたでしょう?」小「そう、まったくなかったですね。『宇宙食でいい』って言ってましたから☆」江「今の時代ってそうじゃないですか。普通に味覚とか季節の旬の野菜をいただくとかいうよりも、栄養という数字の上だけとか」美「器の盛り付けの楽しさだとかね、そういう生活の普通の智慧みたいなものが現代はまったくないじゃないですか」江「満たされればいい、みたいなね。とりあえず満たされればいいっていう感じになって。美輪さんが今、おっしゃったように、昔は季節を楽しんだり、美を楽しんだりとか…」小「今年、初めてお正月に餅つきを。つきました☆」国「えー!?本当ですか?楽しかったですか?」小「楽しかったねえ☆」国「良かったあ☆」小「お餅ができるプロセスが、そこに見えた☆切り餅しかないですからね」国「お餅が出来上がるのが、プロセスっていうのは、新しい感じがしますけれども☆」江「でも、現代の若い人なんかは、分かっていないかもしれません。お餅がどうやってできるのか…」美「それこそ、畑か何か、木に生っていてね、お餅の格好をしたものが出てくるという風に思っているんじゃない?☆」国「こわいですねー☆」江「あと、野菜がどう生るのか知らない子供さんって多いって言いますよね。茄子は土に生えている、とかね」国「これ、意外と小室さんも分かっていないのかもしれないですよ☆野菜がどうやって出来るのかとか…」小「だから餅のときも、ずっと呆然と立ち尽くしてました☆」美「本当に、現代っ子ね☆」続きます。「オーラの泉の日記」