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カテゴリ:信用取引
週末の所有銘柄のチェックをしていて、”先週は少し売ったはずなのに、買い付け余力が思ったほど増えていないなー”と不思議に思ってよく見てみると、
なんと、節税クロスをしたはずの銘柄の、買いの方の数量が1桁違っていて、べらぼうな保有数量になってしまっている(みきまるさんの超主力銘柄だからまあいっか)。 そうでなくても、先週は、ライツオファリング実施中の石山Gatewayについて、権利行使初日に手続きしたはずが、余力不足と判断されて出遅れ、結構損をしたばかり(〇ドットコムさん、手続きした時点で必要な現金を拘束してくれると有り難いのだけど。知らない間に現金を信用保証金に振り替えるのは勘弁して)。 そんなこんなで、不注意によるチョンボ続出で損しまくり、少々節税をしても、ちっとも追い付かない。 それはさておき、 本日は、昨日に引き続き、クロス取引はどこまでセーフなのかについて。 まずは、読まれる上での注意事項。 今回は、グレーゾーンの話なので、自己責任で判断をお願いします(他の記事でも同じだけど、今回は特に強調しておきたいです)。 1.昨日のおさらい 昨日の記事:クロス取引はどこまでセーフなのか(その1)のまとめ。 〇法令で禁止されているのは、クロス取引そのものではなく、 株価を変動させたり、実際以上に取引が活発だと他人に誤解を与えることを目的としたクロス取引。 〇ただし、投資家側の主観的な目的がどうであれ(他人を誤解させることが目的ではないと主張したとしても)、 市場占有率、反復性などから、客観的に見て、他者が対象銘柄の出来高が増加したと誤解しかねない状況であれば、アウト。 〇優待取りのためのクロス取引、信用取引の期日到来に伴う乗換が目的の寄付きでのクロス取引は、証券会社のWebでの記載から見て、セーフなのだと思う。 〇54営業日の間に、29営業日36回にわたりクロス取引、このうち現物クロス取引が20回。出来高に占める割合(市場占有率)が、29営業日平均で16.88%、中には50%や60%を超える日もあった。というケースでは課徴金が課せられておりアウト。 2.境界線はあいまい 法令に基づいて証券取引等監視委員会がチェックしているのに加え、各証券会社が各社の社内ルールにより取引規制・注意喚起を行っている。 証券取引等監視委員会のほうでは、課徴金事例集というのを作成している。 事例集で、アウトだった例は分かるけど、じゃあ、どこまでセーフなのかは不明なまま(取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる、誤解を生じさせないの境界線はいったいどの辺?)。 証券会社の社内ルールも各社まちまちな感じ。 なお、当たり前のことではあるけど、証券会社の社内ルールと証券取引等監視委員会の判断は必ずしもリンクしない。 証券会社からの注意喚起があったからといって必ずしも法令違反ではないし、証券会社からの注意喚起が無くても法令違反で摘発される場合もあり得る。 まあ、一般的には、証券会社の社内ルールのほうが、法令より厳しいのではと思う。 結構厳しい例では、〇井コスモ証券などでは、信用期日到来に伴う乗換え以外のクロス取引は、事前の電話連絡が必要。だけど、事前に電話連絡というけど、どんな場合にはOKなのかは明記されていない。 最大手の〇村証券では、会社で事後的にチェックする体制。 だけど、注意喚起等の基準は以下のとおり、あいまい。 (〇村証券Webより) 不公正取引の一部は取引を誘引する目的を持っていることが必要とされますが、相手が誤認するかどうかはその目的と関係ない場合もあります。したがって、お客様の取引の態様、保有資産状況、投資の動機、投資のご経験などを勘案し、客観的に判断する場合もございます。当社が不公正取引の疑いがあると判断した場合は、まずログイン直後の画面で当該取引について判断をお伝えしますので、その後の取引に十分ご注意ください。 3.単発の、寄付きでのクロス取引は白に近いのでは どういうときに注意喚起するのか、もう少し詳しく書いている証券会社があった。 〇BI証券の場合、「相場操縦的行為」のチェックポイントの中で、以下の記述がある。 信用取引の期日到来等の明確な目的があるクロス取引であったとしても、直近公表価格から乖離した値段でクロス取引を行うことは、意図的に価格を動かすことになり、他の投資家に誤解を与える可能性があることから、「仮装売買」と判断される可能性が高いと考えられます。明確な理由を基にクロス取引を行う場合には、寄付1回限りで売買両方の注文を成行で行う等、市場に与える影響を配慮した取引が必要です。 そして、25年度の売買審査についての売買審査部からのコメントとして、以下の記載がある。 特に平成25年度は、証券税制改正に際し、いわゆる「益出し・損出し」を目的としたクロス取引が年末にかけて非常に多く見られました。その中でも、価格変動を伴うクロスやPTSで本則市場の基準値から大幅に乖離した価格で行うクロス等、金融商品取引法で禁止されている「仮装売買・馴合売買」が疑われる取引については、お電話で注意喚起を行ったケースや、不本意ながら取引制限を行ったケースもありました。 ”価格変動を伴うクロスやPTSで本則市場の基準値から大幅に乖離した価格で行うクロス等”は金融商品取引法で禁止されている「仮装売買・馴合売買」が疑われる取引だけど、”寄付1回限りで売買両方の注文を成行で行う等、市場に与える影響を配慮した取引”は、金融商品取引法で禁止されている「仮装売買・馴合売買」には該当しないという風にも読めるのだけど、どんなものだろう。 別の会社でも、〇ドットコム証券の売買審査参考事例集で、”仮装、馴合い売買”として紹介されているものは、全て価格変動を伴うケースのみ。 こちらでも、単発の、寄付きでのクロス取引は大丈夫そうに思えるのだけど、どんなものだろう。 それから、大本の証券取引等監視委員会でも、課徴金事例集を示してくれているけれども、今までのところ、単発での取引で課徴金を課せられている事例は無いようだ(今後も無いとは断定できないけれども)。 4.繰り返す場合は、グレー 節税のためのクロスを、寄り付きであったとしても、同一銘柄で何度も行うとどう判断されるのかは、はっきり言ってよく分からない。 価格変動を伴わないケースで課徴金を課されたのは、これまでのところ、昨日も取り上げた”株式会社岐阜銀行株式に係る相場操縦”案件のみのようだ(見落としがあるかもしれないけど)。 ・株式会社岐阜銀行株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について 市場占有率、反復性などから、客観的に見て、他者が対象銘柄の出来高が増加したと誤解しかねない状況であれば、アウトのようなのだけど、どの程度以上がダメなのか。 上記の例で、 54営業日の間に、29営業日36回にわたりクロス取引、このうち現物クロス取引が20回。出来高に占める割合(市場占有率)が、29営業日平均で16.88%、中には50%や60%を超える日もあった。 というケースではアウトということが分かる。 感覚的には、市場占有率が上記の3分の1以下の3~5%程度にとどまれば、他者が対象銘柄の出来高が増加したと誤解するようなこともないのではと思うのだけど、 当局の判断しだいの面があるので、人にはお勧めできない。あくまで自己責任。 ※今回は、グレーゾーンの話なので、自己責任で判断をお願いします(他の記事でも同じだけど、今回は特に強調しておきたいです)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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