今日の言霊:
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総合病院に勤める産婦人科医・和泉優子のもとに
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絶滅の危機とささやかれながらいっこうに改善されない
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今日はパシフィコ横浜で開催されている、日本産婦人科学会の学術集会に出席してきました。1年に1回、4日間にわたって開催される大きな学術集会です。全国から産婦人科医が集結するんですよ~。この4日間は、どの病院もギリギリの人数しか残っていないから、受診の際はお気をつけくださいね。
学会では、色んな発表やレクチャーが聞けるので、朝から、最新情報を聞きにあちこちの会場を渡り歩いてきました。
今日聞いたのは
*多のう胞性卵巣症候群の新しい診断基準
*排卵障害とインスリン抵抗性
*HPVワクチンの導入に向けて
*女性のヘルスケアとホルモン療法
といったテーマ。
ホルモン療法に関するレクチャーは、おなじみの先生方がピルのメリットや、新しく発売になった「ミレーナ」の避妊効果の高さなどについて力説されていました。もっと、ホルモン治療に対する「誤解」や「何となく抵抗がある」といった不安をきちんと取り除けるように、データに基づいた説明ができるようになりたいと思っていたので、先生方のお話はとっても参考になりました。明日も引き続きホルモン補充療法について勉強してくる予定です。
今日聞いたお話の中から、時々ご質問いただく「HPVワクチン」についてちょこっとシェアさせていただきますね。
HPV(ヒューマンパピローマウイルス)というウイルス感染によって子宮頚癌になってしまうことは、以前の記事にも書いていますが、このウイルスに対して現在のところ「治療薬」はありません。薬で治療することはできないけれど、一度感染しても自然な免疫力によって9割の人は2年以内にウイルスがいなくなっていきます。なので、HPVに感染した人がみんな子宮頚癌になるわけではなく、感染が持続してしまった人だけが癌になってしまうリスクがあるわけです。
でも、できることなら感染自体を防ぎたいですよね?HPVはセックスで感染するものですから、コンドームをきっちり使うことで感染のリスクを下げることはできます。でも、100%予防することはできません。そこで登場したのが「ワクチン」です。
海外ではすでに認可されていて、多くの女性がこのHPVワクチン接種を受けています。オーストラリアでは、12~13歳の女性を対象に学校でワクチン接種を行っているんですよ。しかも、公費負担つまり国がお金を出して、無料で接種できるようになっているんです。
ワクチンというのは、インフルエンザや風疹の予防接種と同じで、ウイルスの成分の一部を無害な状態にして注射することで、身体にそのウイルスに対する「抗体」を作るものです。「抗体」というのは、いわば兵隊みたいなものですね。一度ウイルスに感染すると、身体がそのウイルスを新たな「敵」として認識して、専属の兵隊を作るんです。
HPVの場合、自然な感染でも抗体は作られますが、この場合は抗体の量が少ないために次の感染を防ぐだけの力はありません。ワクチン接種によって作られる「抗体」の量は、自然感染の約5倍。つまり、たくさんの兵隊が作られるので次に同じウイルスがやってきても感染を防ぐことができるというわけです。実際、このワクチンの予防効果は95~100%で、接種後6年間は抗体値が維持されているとのことでした。おそらく、ワクチン接種から10年くらいは、予防効果が持続するそうです。
しかも、ワクチンによる副作用は、接種した部分の皮膚が赤くなった人が少数いた程度で、重篤な副作用はありませんでした。つまり、ワクチンを接種することのデメリットはほとんどなく、1度接種すれば約10年にわたってHPVの感染が防げるわけです。
こんないいものがあるのに、何で日本では予防接種できないんだ?と思う方もいらっしゃるでしょう。現在、このワクチンはまだ認可されていないんです。おそらく、日本でも認可されるのは時間の問題だろうとはいわれています。ただ、一つ大きな問題があって、厚生労働省はこのワクチンを「任意」つまり、受けたい人が「自分のお金で」受けてね、ってことにしてしまうかもしれないんです。
楽天リサーチが2500人の女性を対象にインターネット調査した結果、
このワクチンを接種したいと答えた女性は61%、
娘に接種させたいと答えた母親は63%だったそうです。
ところが、「1クールの接種料金は約5万円です」という
価格提示をしたとたん、接種したいという人が15%まで下がってしまいました。当たり前ですよね、いくらなんでも高すぎます。
4月9日のニュースで「今年から4月9日を『子宮の日』として、子宮頚癌の予防を呼びかけることになりました」と報道されていました。その中で、しきりに「子宮頚癌は予防できる病気です」「子宮頚癌は早期発見できる病気です」と強調されていたんですね。
そうなんです。子宮頚癌は、コンドームをきちんと使い、ワクチンを接種することによって
「予防」ができます。そして、1年に1回子宮癌検診を受けることによって
「早期発見」もできます。早期に見つかれば、レーザー治療や子宮の一部を切り取るだけで「完治」を目指すことも可能なんです。
ニュースの中では、某大臣が「ワクチンの認可を急がなければならない」とコメントされていましたが、認可するだけでは意味がありません。HPVがセックスで感染するウイルスであることを考えると、ワクチン接種のタイミングとしては「セックスを開始する前」つまり中学生のうちに、できれば中学入学時に行っておく必要があります。中学生が1回5万もする任意のワクチンを受けられるわけがありません。大人だって、おそらくほとんど受けようとしないでしょう。
ワクチンを意味のあるものにするためには、オーストラリアやフランスのように、全額公費負担にすべきだと思います。中学入学時に接種することにすれば、中学は義務教育ですから、ほぼ全女性に漏れなく接種することが可能になりますよね。
中学生に「性感染症予防」のワクチンを接種するのは、「セックスを許可することになる」なんて的外れな指摘をなさる方もいらっしゃいますが、それは「ヘルメットを着用させると返って無謀な運転をするようになる」と言っているのと同じです。
ピルにしてもHPVワクチンにしても、日本の女性が早く国際レベルの健康サポートを受けられるようになって欲しいですよね。
「本田晃一さんのグループコンサル
~HRDSからのメッセージ~」
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