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2021.05.07
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カテゴリ:映画

♪ 肉体は既成の枠に属しても心は水のごとく自由に

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21年(第93回)のアカデミー賞で、作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した「ノマドランド」を観てきた。いつものように予備知識や内容の情報を入れずに、素の状態で観るのスタイルを取った。「ノマド」が流浪の生活者を指す言葉だという事だけが知っている唯一の情報だった。

 特別に映画好きでもないので監督の名前も主演女優の事もロクに知らないまま、そのアメリカ大陸という粗削りで広大な大地を生活拠点として生きている人達が、今でもそこここにいるということに驚き乍ら、その世界に誘われるように見入っていった感じ。

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クロエ・ジャオ監督(右)と主演のフランシス・マクドーマンド

 もちろん、アカデミー賞受賞監督が初の中国系(アジア系女性として史上初、女性監督としても史上2人目)で、中国ではその事に全く触れず報道もされていないというニュースは知っている。でもそんなことはどうでもいい事です。監督が誰であろうと主演が誰であろうと、良いものは良いし良くないものはそれだけのこと。

 冒頭、中古のキャンピングカー(バンを自分で改造)と共に登場し、何かを食べている主人公がとても自然でそれでいてなんとも存在感があるので、最初から首根っこを掴まれてしまった。主役は「フランシス・マクドーマンド」という女優で、「ファーゴ」「スリー・ビルボード」で2度のアカデミー賞主演女優賞に輝いている女優だと後から知って、やっぱりなぁと納得した次第。

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 このノマド達と自分が、心情的に非常にクロスする部分があって仲間を見るような心持ちで観ていた。様々なものに束縛されるのを好まず、金のために魂を消耗させて自己を蔑ろにしながら生きることを拒否する。思っていてもアウトサイダーになる度胸は無く、周りに迎合することでしか居場所が見つけられない人からすると、憧れの対象でもあったりする。

 主人公の姉もそんなことを言っているものの、ノマド達がそんな思いを口にすることもなく、ごく自然に大自然の中に溶け込みながら、緩いけれども確かなつながりを持って生活している。その様子は、確かにアメリカの伝統の根幹にあるものかも知れない。収入はどうしているのかと思ったら、季節労働者として毎年同じところへ行って働いている。なので顔見知りや仲間がいる。社会を拒絶しているわけでもなく、生活のために最低限の繋がりを維持している。

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 珍しくエンドロールを観ていて、ノマドの名前がすべて本人であることが分かって驚いてしまった。堂々としかし自然に振舞っていてとても素人とは思えず、日本でのマスコミ試写でもエンドロールでその事実を知らなかった場内がどよめいたというのも良く分かる。その自然な演技は、ノマド達が生き方に誇りと信念を持っている証しだと思わせられる。

 女優はマクドーマンドとストラザーン(スワンスキー役)の二人だけだという。監督クロエ・ジャオが取った手法にしても、本物のノマドのなかに違和感なく馴染んでいるその演技力と、監督の手腕はさすがだと思う。

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 どの程度の距離を移動しながら生活しているのか分からないが、あの荒涼とした広大な大地を移動しながら生活するなんて、日本の様な小さな国に住んでいる者にはあまりにも無謀な感じがしてしまう。日本中を放浪した経験があるだけに、あの風景と共に尚更そのワイルドさと底知れぬ強さを感じた109分だった。

 固定した家に住まず、特定の仕事にも就かず、命令されることも、特定の責任を負うこともなく生きられたどんなにか人間らしい生活が出来るだろう。そう思う人が実際どれくらいいるのだろうか。(映画で主人公が、「私はホームレスじゃない。ハウスレスなだけ。」と言うシーンがある。)

 コロナ禍が続くにつれて、ずいぶん価値観の変化が見られるようになってきましたし、既成概念を疑う人も増えてきている。経済成長がなぜそんなに必要なのか、何のために自己を殺してまで働いているのか、当たり前と思われてきたものさえい疑い始めてきている。
(映画では象徴的に、ネット小売り大手アマゾンの巨大な配送センターで働く主人公の姿が映し出されている。)

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アーミッシュは車を使わない

 アメリカのアーミッシュは今、高齢化が進んでいて存続も危うくなってきているらしい。そういう独自の生活集団を作って治外法権的に生きることもあまり意味が無くなりつつあるのかも知れない。
 コスモポリタンなんていう言葉を聞くことはほとんどなくなり、排他的な傾向が強くなっている今の世界は、両極端の分断社会になりつつある。
 そんな状況だからこそ「ニュートラルという生き方」に大きな意味があるように思う。

★「ノマドランド」原作者・ジェシカ・ブルーダーへのインタビュー記事





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最終更新日  2021.05.07 11:30:48
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◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
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