♪ 尉鶲の声に姿を探す朝霜月からの習慣となりぬ
黒の留袖を洋服にするにあたって、用尺が足りないので染めてほしいと持ってこられた白縮緬を、きのう染めてみた。着物をほどいたものらしく13のパーツに分かれていて、扱いが厄介だ。染めむらが出ないようにするには結構骨が折れる。
先日は、カミさんがピンクのカーディガンを落ち着いた色に染め直ししてほしいというので、黒でくすませることにした。こちらは綿60%、アクリル40%の混紡だったが、綿が60%ならスレン染料で染まる。アクリルのピンクがわずかに残っていい感じになるはずだ。
写真ではわかりにくいがアクリルのピンクが微妙に反映して、いい味になっている。羽織るだけなのでボタンは取って、ボタンホールのピンクのスパンシーも何とかすると言っていた。
で、今回のこの白生地。何としたことか、酸性染料で染めるも、染まらない。グレーになったまま色が付いて来ないのだ。持ってきた婦人が創価学会の重鎮なので全く疑うことなく、「絹」だと信じていた。こっちに何か間違いがあるのか?と、キツネにつままれた気分。温度を上げ、酸を入れ、濃度を上げたりしたが全く変わらない。
こりゃあ生地の方が問題だわ!と、ようやくそちらを疑うことに。生地端のほつれ糸を集めて、ライターで燃やしてみたら、やっぱり。黒煙が上がり、消した後に黒い玉が出来ている。間違いなく化繊だ。多分ポリエステルだろう。そういえば、やけにシャリ感があって腰も強く、重さもあった。
汚染しているだけなので、洗えば薄くなっていく。
着物の世界から遠ざかっているので、こういうものが縮緬として織られていることに思いが及ばなかった。電話でこのことを伝えると驚いていた。着物の下に着る長襦袢は、正装用に真っ白のものを使うが、「うそつき襦袢」とか言ってポリエステルのものがあるらしい。「うそつき」とは、通常は肌襦袢を着て長襦袢(半襦袢)を着て、その上に着物(長着)を着ているところを、長襦袢(半襦袢)を省略して代替品にしているもので、簡易な着方のことを指すらしい。家で洗えるというのでしょっちゅう着る人には重宝されているらしい。
しかし、このご婦人が「うそつき襦袢」を着ていたのだろうか? 知らなかったところを見ると、そうじゃないのだろう。「白生地ならちょうどいいのがある」と、娘か誰かの使わないものをもらったのかもしれない。
念のために、色合わせ用に持ってきた黒留めそでの端切れを同じように燃やしてみた。黒い煙が出ることもなく、吹き消した後には指で粉々になる燃えカスが残ただけだった。
絹は綿よりも染めるのは簡単なのに、やけにくたびれた。くたびれもうけの時間失い。これからは先ず、疑ってかかることにしよう。今日、代わりの生地を持ってくるらしいので、糸を燃やして確かめてから染めることにする。
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最終更新日
2021.11.07 06:34:53
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プロフィール
sunkyu
日本の四季と日本語の美しさ、面白さ、不可思議さ、多様性はとても奥が深い。日々感じたことを「風におよぎ 水にあそぶ」の心持ちで短歌と共に綴っています。 本業は染色作家
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