平安式恋の諦め方?
通勤電車用に出際に慌てて本棚から取り出した単行本「田辺聖子の今昔物語」。ずっと前に買ったもののブックカバーをつけたまま、何年も読むことは無かった本でした。学生時代に歴史の中で平安時代の作品で「今は昔・・・・」で始まるぐらいを記憶しているぐらい。電車の中で仕方なしに読んでみると、田辺聖子の訳もいいのか、イキイキとして面白い。 今昔物語セット 2,500円 33,750円(完成品は10倍の価格に!?)「平中の恋」という話では、平中という都で評判のプレイボーイが出てくるンだけど、彼が最後まで振り回されて、結局、落とせなかった侍従(女性)の話があります。いつもと調子が違って、思い通りならないからこそ、余計募る平中の侍従への想いはどうすることもできません。遂に平中は侍従を諦めるために、その侍従の排泄物を見たり嗅いだら、興ざめし、諦めることができるだろうと思います。そして侍従の部屋から汚物箱が運び出されるのを奪い取って、汚物を飲み込んじゃった。ところがこの汚物はなにやらいい匂いがする。平中は「やはりあのお方は天女か」と思うのだけどハッと気付くのです。尿と見せたのは丁子を煮た汁、便はところと練香を調合し、筆の軸に入れて押し出したものと気付くのです。ここまで異常とも言える平中の行動の先を読んでしまう女とは、やはり普通の女ではないと、平中は、より一層、侍従に恋焦がれ、遂には病の床に伏してしまうのです。 平中はその侍従の顔すら見ることができなかったんだけど、「あの侍従の機知とお茶目ぶりは、私にはたぐいもない美女だよ。」とイケメンでプレイボーイの平中に言わせたのでした。昔の昔のこととは思えない親近感を感じるでしょ。古典って本当は、私達と同じ生身の想いが流れているんでしょうね。238,000円→ 28,000円 87%off