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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2006年05月06日
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fanfare for rutgers.jpg  ブライアントの「インパーシネーションズ」目当てで購入しました。2003年のラトガーズ・ウインド・アンサンブルの旧譜です。このラトガーズ大学と、ニュージャージー州立大にゆかりの作曲家の作品を集めたアルバムです。この中で、チャールズ・ウォーリネン(1938~)とダニエル・グード(1936~)がラトガーズ大の先生、トンプソンとファレルは大学の卒業生です。ブライアントとウィテカーは、ラトガーズトガーズ・ウインドアンサンブルと長い間関係を続けていま
す。ボイゼンとアイアナコーンの曲はラトガーズ大にインスピレーションを受けた曲です。

 期待のブライアントの「インパーシネーションズ」いいですね。グレインジャーの「リンカーンシャーの花束」の第1曲「リスボン(水夫の歌)」を基にしています。第2曲「ホークストウの墓場」の旋律も最後のほうでチラッと出てきます。いわば、原曲を録音したテープを切り刻んで、並べ替えて、つぎはぎだらけにしたような曲です。旋律は多分殆ど変えていなくて、リハーモナイズやオーケストレーションの改変で、新しい響きを出しています。全編ユーモラスな仕上がりで、そこにシニカルな皮肉がちょっぴり加えられていて、大変面白い曲です。原曲を知らなくてもそれなりに楽しめますが、原曲をして知っている方が、数倍は楽しめると思います。聞いていて思わずにやにやしてきます。演奏でこの「つぎはぎ感」を出すのは、結構難しそうです。それに不協和音が頻出するので、ピッチを合わせるのも大変そうですね。

 アンソニー・アイアナコーン(1943~)の「Sea Drift(海流)」は名前だけは知っていましたが、耳にするのは初めてでした。解説によると、1997年のオストワルド賞受賞作だそうです。どうりで、いい曲なわけです。ウォルト・ホイットマンの詩集「草の葉」の中の三つの詩を基にしています。ホイットマンはニュージャージー州キャムデンで隠遁生活を送っていましたが、キャムデンにもラトガーズ大のキャンパスがあるという縁で、この曲が取り上げられたようです。(かなり苦しい??)フレデリック・ディーリアスの傑作「海流」というバリトン、合唱、管弦楽のための曲も、この曲の1楽章「いつまでも揺れやまぬ揺籃のなかから」と同じ内容が題材のようです。ヴォーンウイリアムズの海の交響曲の1,2楽章も、この曲の3楽章「あらゆる海に捧げる歌」、2楽章「浜辺にて、夜独り」と同じ題材を使っています。なかなか思索的な曲ですが、ギリングハム(1947~)に似通った、ちょっと暗めの響きが特徴です。打楽器の使い方も似ている気がします。

 1楽章は全体的に静けさが支配していますが、中間部の激しい楽想はダイナミックです。2楽章の夜の音楽はギリングハムが作ったといっても、ぜんぜん違和感がありません。比較的早いテンポのオスティナートに始まりる第3楽章も、短いですが、とてもダイナミックです。

 「カークパトリック・ファンファーレ」は、ラトガーズ大のキャンパスにある、
カークパトリック礼拝堂にインスピレーションを受けた曲です。イントロから太鼓とフルートのアイルランド風な調べに乗った軽快な曲で、後半「ロンドンデリー・エアー」の旋律も聞こえてきます。この礼拝堂は1987に建てられた、総ブラウンストーン(褐色砂岩)つくりの、14世紀のドイツとイギリスの建築様式を取り入れた、堂々たるゴシック建築の建物です。3分ほどの曲ですが、なかなかかっこいい曲です。

 3曲目は、チャールズ・ウォーリネン(1938-)の金管アンサンブルのためのファンファーレ。自身マキシマリスト称する、作曲家の新鮮な響きが印象的ですが、ホルンのハイトーンがかなりつらそうです。

 4曲目のケープ・ブレトン・コンサートはリバーダンス風アイリッシュ音楽。バグパイプの音を模した弦を加えたオーケストレーションが、なかなかいい味出していますが、旋律に魅力がなく、構成も単調で、曲としてはつまらないもの。

 H.オーエン・リードは2曲取り上げられています。大編成バンドの処女作である「スピリチュアル」は1947年と作曲年代は古いですが、わかりやすく、古さを感じさせない曲です。その当時のアメリカの吹奏楽作品の作風の王道を行くような、テクスチャーが明瞭で、メリハリの利いた曲です。先年のキーストーン・ウインド・アンサンブルのオーエン・リード・集でも取り上げられていましたが、このときは「 For the Unfortunate」の印象が強烈で、この曲の記憶はありませんでした。これほどの曲が日本ではあまり知られていないことは、とても残念なことです。
 オーエン・リードがイーストマン音楽大学に在学中に作曲された「psalm of praise(賛美の詩篇)」は、詩篇100「全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ」に基づきますが、喜びが伝ってきません。独唱が、ロシア風の発声と声質のためなこともあるかもしれません。

 第8曲目の「Madaline's First Adventure」はラトガーズ大でジャズ・パーカッションを専攻したクリス・トンプソンの曲です。妹のマダリンにささげられた、気まぐれですが、希望に満ちた、なかなか楽しい曲です。作品はミュージカル「day in the life of」として構想されました。三つの楽章に別れています。最初の楽章はスピリチュアルな楽章で、2楽章が子守唄、最後がスケルツォとなっています。
聞いていて、すがすがしい気分になること請け合いです。

 他に、ウィテカーの「眠り」、ファレルの16世紀の複合唱と交唱を取り入れた「サウンドショック」が収録されています。

 つまらない曲も2曲ほどありますが、他はなかなか充実しており、演奏も堅実です。個人的には、新しい発見が多く、聞いた後、結構、満足感を感じることができました。


FANFARE FOR RUTGERS(Mark Custom 4186-MCD

RUTGERS WIND ENSEMBLE,William Berz
JUDITH NICOSIA (SOPRANO)

1. Andrew Botsen, Jr:Kirkpatrick Fanfare
2. Anthony Iannaccone:Sea Drift
  1.Out of the Cradle, Endlessly Rocking
  2.On the Beach at Night
  Song for All Seas
3.Charles Wuorinen:Fanfare for Rutgers University
4.Daniel Goode:Cape Breton Concert
5.Eric Whitacre:Sleep
6.Steven Bryant:ImPercynations
7.H. Owen Reed:Psalm of Praise
8.Chris Thompson:Madaline's First Adventure
9.Eibhlis Farrell:Soundshock

Recorded 1998-2002
in the Nicholas Music Center on the Douglass Campus of Rutgers,NJ






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Last updated  2007年04月25日 22時12分02秒
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