|
カテゴリ:クラシック音楽
数か月前に聞いた小菅優のアンサンブルがとても面白かったので、聞きにいった演奏会。 ピアノ五重奏それも木管の曲なので、あまり一般のクラシックファンには受けない演奏会だが、中ホールとはいえ八割がたの入りだった。 小菅優人気だろうか、それとも著名な管楽器奏者たちだったのでその人気だろうか。 今回の注目は藤倉大の「GO」 小菅の委嘱作品で今回のツアーで世界初演されたものだ。 藤倉については、数年前確かルツェルン音楽祭でブーレーズが彼の作品のリハーサルをしていたシーンをBSで見て覚えていた程度で、実際に彼の作品を聴くのは初めてだった。 作品の委嘱や音楽祭のディレクターなど超売れっ子だそうだが、日本人としてもとても誇らしい。 今回の作品は五重奏なので「GO」と名付けられている。 6曲からなる組曲で、人数が変動しても、その場その場で演奏できるような作りになっている、というのが作曲者の狙い。 五人で演奏するのは3曲だけ。 あとは、ファゴットとホルンのデュオ(第2曲)、ピアノ(第3曲)とクラリネット(第5曲)のソロが一曲ずつという構成になっている。 曲ごとに関連は全くないため、演奏順も自由とのこと。 現代曲らしい冷たい感触はあるものの、難しい曲ではなく、結構楽しめる。 各曲に名前は付けられていないようだ。 メンバーに求められるるテクニックが高度で、体力も必要なため、メンバーの大変さがよく分かる。 オーボエとクラリネットにやたらと高い音を要求するので、オーボエなどひいひい言っているのが分かる。 ファゴットとホルンのデュオではうねうねとした不協和音のユニゾンが延々と続き、ブレスもままならないようだ。 第6曲では木管のトリルとピアノの単音の連打がフォルテで始まり、なかなか刺激的だ。 中近東風の旋律がピアノに出て、それ以降もトリルとピアノの連打が続く。 かなりエネルギッシュな曲だが、この曲も演奏が大変そうだった。 ということで、この曲は視覚的にも面白く、今後広く演奏される気がする。 録音も希望したい。 ベートーヴェンとモーツァルトの五重奏ではモーツァルトが面白かった。 ベートーヴェンに比べてモーツァルトの方が小菅がぐいぐいと引っ張っていたのと、テンポにメリハリがあったためと思う。 木管奏者は若く腕利きのメンバーがそろっている。 一番気に入ったのは小山莉絵のファゴット。 これほど鮮やかなサウンドのファゴットは聞いたことがない。 それから、フィリップ・トーンドゥルのオーボエも美しい音色だった。 ホルンのトゥーニス・ファン・デァ・ズヴァールトもほとんどミスのない演奏だった。 ベートーヴェンの難所も無難にこなしていた。 ただ時折音を膨らませるのは、あまりいい趣味とはいえない。 クラリネットの吉田誠は藤倉のソロの曲以外はあまり目立たなかった。 渡辺和彦氏による詳細な曲目解説がプログラムに載っていて、鑑賞する上で、とても参考になった。 また、ピアノと管楽のための五重奏が「小型のピアノ協奏曲」という考え方も面白い。 小菅優の室内楽 ベートーヴェン詣2017 前半 1.ベートーヴェン:ピアノと管楽のための五重奏変ホ長調 Op.16 2.藤倉大:「GO」 後半 3.モーツァルト:ピアノと管楽のための五重奏変ホ長調 K.452 アンコール ベートーヴェン(小菅優編)重唱曲「悲歌」op.118 2016年6月20日盛岡市民文化ホール 小ホール A席R5番で鑑賞 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017年06月21日 21時23分07秒
コメント(0) | コメントを書く
[クラシック音楽] カテゴリの最新記事
|