テーマ:読書(8578)
カテゴリ:読書
2010年に発売されて爆発的にヒットした村上春樹氏の長編小説「1Q84」が文庫本になったのを機に読みました。全部で6冊という長編小説ですが、その内容が面白くて、それほど長くは感じられませんでした。 物語は、青豆(あおまめ)という女性と川名天吾という男性が主人公で、二人は30歳という設定で、この二人は小学生の時の同級生です。 そんな二人は、小学生の時以来、一度も会ったことが無いのですが、次第にお互いを意識している事に気づき、最後はめでたく出会うことができるという一種の恋愛小説の雰囲気も持っています。 小説は青豆を主体にして書かれた章と天吾を主体として書かれた章が交互に書かれていて、最後に二人が出会うまで、お互いが出会うことはありません。 物語にはオウム真理教を思わせる宗教集団が登場したり、弱い女性を救うために私財をなげうつ老婦人が登場したりと、なかなか面白い設定になっています。 青豆はスポーツインストラクターですが、一方で世の中のためにならない、どうしようもない男性を証拠を残さずに殺害してしまうという必殺仕事人のようなことも請け負っています。また、天吾は他人の書いた小説を書きなおしてしまい、その小説がベストセラーになるということをしてしまいます。 二人とも世間的に見れば、罪を犯しているのですが、不思議と罪悪感を含んでいないように感じました。それは、青豆にしろ天吾にしろ、ある意味で人の役に立つことをしているからなのだと思います。 さて、月が空に二つ浮かんでいる1Q84年の世界に紛れ込んでしまった青豆と天吾ですが、そこから脱出することができるのかどうかということが、次第にこの小説のテーマとなってきます。 その途中で新たな主人公として牛河という人物が登場します。この男性は、頭頂部が扁平で、手足が短く、他人に不快感を与えるほど全体的に特徴的な雰囲気をもった人物で、宗教団体に雇われて探偵のような仕事をしており、青豆の行方を捜します。 この牛河という人物もなかなか特徴的な人物ですが、この人物の末路は哀れでした。 そのほか、いろいろと面白い内容がありますが、読んでみて「絶対にソンはしない」小説だと思います。
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