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【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

【1日1冊!】猿のごとく読み、人のごとく考える

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2018年07月30日
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【猿のごとく読み、人のごとく考える・その513・506冊目】
・紹介する本
・サノーさん一言コメント
「マザー・グースの童謡が奏でるのは、連続殺人のしらべ。数学と天文学と心理学が暴く真犯人の動機」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「推理が推理を呼び、論証が真実を暴きます。謎解きよりも、その過程を楽しむタイプの一冊です」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下サ):童謡や民話、伝承話などがトリックに用いられる推理小説を「見立て殺人小説」という。
ウノーさん(以下ウ):もともと知られている「モチーフ」があって、それが読者と「名探偵」の垣根をとってくれるわけです。
サ:横溝正史の『悪魔の手毬唄』は、このジャンルの傑作だ。
ウ:今回は、そのジャンルの「開祖」ですが、「マザー・グース」に馴染みがない我々にとっては、その知識を入れておく必要がありました。
サ:といっても、マザー・グースの作品や詩集を読むまでのことはなく、どういう作品があって、当時の人々にとってどのような存在なのかだけ仕入れておけば、充分楽しめる。
ウ:「見立て」としては「童謡」がベースなので、神秘的かと思いきや、舞台も謎解きも割と「理系」なんですよね。
サ:最初の現場は、著名な物理学者である「ディラード教授の屋敷」だからな。その後の登場人物や被害者も「理系」の人間が多い。
ウ:その上をいくのが、探偵ヴァンスの推理です。複雑に絡み合った要素を「数理」ともいうべきテクニックでほどいていきます。
サ:小さな証拠や伏線を積み重ねて真実に迫るのではなく、大胆な仮説から「方程式」によって検証を行いながら、真実をつくり上げていく印象だ。
ウ:でも、複雑で難解かというそうではなくて、登場人物が多いのでややこしい印象はありますが、ミステリーとしては明快で分かりやすいです。
サ:著者は療養生活の2年間で2000冊のミステリーを読破し、自らもミステリー小説に対して真摯であり続けるために『ヴァン・ダインの20則』を創った人物だからな。
ウ:この『20則』は、推理小説を書く人、読む人にとって長い間「規範」となり続けたものです。
サ:「秘密結社・カモラ党・マフィア党などを推理小説に持ち込んではなない」というのは、当時ならではの主張だな。
ウ:「探偵自身、あるいは捜査当局の一員が犯人に豹変してはならない」という条項は、なかなか深いです。
サ:こうやって、エアコンの効いた部屋で、傑作ミステリーを読める幸せは、過去の先人たちの試行錯誤と忍耐の上に成り立っている。
ウ:感謝、感謝、感謝です。
【了】





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最終更新日  2018年07月30日 07時30分10秒
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