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カテゴリ:小説・フィクション
【猿のごとく読み、人のごとく考える・その534・526冊目】 ・紹介する本 ・サノーさん一言コメント 「根拠なき差別による苦悩と葛藤を知る。人間が成長していく過程を、矛盾する視点から眺める」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「ほんの少し前まで、日本にあった差別を、生々しい感覚をもって、知り、感じることが出来ます」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):ウチは長野県出身だから、島崎藤村については「身近な文豪」というイメージがあった。 ウノーさん(以下ウ):学校の授業でも、よく取り上げられたことを覚えています。 サ:だが、いまにして思えば「遠慮がち」な紹介だったように思う。 ウ:この『破戒』については、そうかもしれません。主人公は「教師」であり、舞台となるのは「学校」です。 サ:そして「ナイーブ」なテーマだから、なかなかに扱いづらいといのは、大人となったいまは、理解できる。 ウ:いまでこそ「横行」していませんが、ここで登場する「差別」は、ほんの少し前まで、確実に、日本に存在していました。 サ:いまでも「あからさま」でないだけで、完全に消失したようではないがな。 ウ:でも、少なくとも「社会」において、「通念」として否定されています。 サ:だから、この小説に書かれた「当たり前のように迫害を受ける」という感覚に驚く。 ウ:主人公の父の「戒め」である「身元を隠せ」という指示は、その背景に基づいた「戦略」だったわけです。 サ:その「戒め」と、教職員としての「理念」、友人や恋人の「状況」が、主人公の深き悩みとなる。 ウ:「人として、生きる」こと「幸福に生きること」こと「指導者として使命をおうこと」それらが葛藤の原因となり「破戒」へと進んでいくわけです。 サ:ただ、この物語を「差別」への批判や社会の矛盾に対する「告白」としてしか捉えないのは、もったいない。 ウ:主人公も友人も先輩も恋人も、全て「人間」であり、それが「通念」という「矛盾」に立ち向かう姿が尊いのは、「差別」に対してだけではないと思います。 【了】
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最終更新日
2018年08月20日 08時43分06秒
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