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カテゴリ:邦書
村上たかしによる漫画。 粗筋: 「星守る犬」 山中で、ボロボロの車が発見される。車内には、男性の遺体があった。死後1年は経っていると思われた。隣には、犬の死骸があった。犬は死後数ヶ月と思われ、男性との死亡時期と差がある。捜査に当たった警察は、飼い主が車内で死亡したものの、飼い犬はそれを理解出来ないまま側に留まり、間も無く死亡したのだろう、と推測する。 身元を証明出来るものが見付からず、遺体は身元不明のまま処理される事に。 子犬が、小学生女子の「みくちゃん」によって拾われ、「おとうさん」の家で飼われる事となる。 「ハッピー」と名付けられた子犬は、「おとうさん」の家で育っていき、一家を見守る。 「みくちゃん」は、成長と共に素行が悪くなる。 「おとうさん」は病を患い、職を失う。職業安定所で再就職先を探すが、持病を抱えている身では思う様にいかず、職に就けなかった。 見かねた妻は、離婚を突き付ける。 「おとうさん」は、家族も家も財産も失う羽目に。 唯一残ったハッピーと共に、旅に出る。 が、あるトラブルから救った少年に持ち金を盗まれる等、苦難が続出。 乗って来た車が山中でガス欠になるが、給油も出来ない。 「おとうさん」は持病により、車内で死去。 ハッピーはその場に留まるが、怪我を負って死亡。その直前に、「おとうさん」が迎えに来る幻想を見る。 「日輪草」 ある町のケースワーカーが、山中で発見された「おとうさん」の遺体の処理を任される。 ケースワーカーは、当初は「よくある話」として、淡々と処理を進めていた。が、遺体の側に犬の死骸があった事を知り、自分も昔犬を飼っていた事を思い出す。「おとうさん」の身元を突き止め、死までの経緯を調査する事になる。 解説: ごく普通に暮らしていた男性が、ふとした事で人生の歯車が狂い、普通の生活が出来なくなってしまう。 妻から離婚を突き付けられ、自身の人生に絶望したというか、興味を失う。 「旅」を装って死に場所を捜し求めて、その希望通り死んでいった。 表紙はやけに暖かみのあるタッチの絵なので、ページを開いていきなり「車の中で男性の遺体が発見された」といった下りになっている事には少々驚く(遺体そのものは描かれていない)。 飼い犬の「ハッピー」を残したまま死ぬ「おとうさん」は無責任、という考えも出来なくも無い。が、何もかも失い、最早死に場所しか求めていなかった「おとうさん」からすれば、少なくとも自分より先に死ななければOK、という考えしか出来なかったと思われる。 絵と、話の深刻度に物凄くギャップがある。劇画タッチだったら、重くなり過ぎていただろうけど。 考えれば考える程読後感が悪くなる。
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Last updated
2015.08.21 11:03:41
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