7630431 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

「きらりの旅日記」

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

カレンダー

プロフィール

ほしのきらり。

ほしのきらり。

カテゴリ

2016.10.09
XML
カテゴリ:美術館・博物館
スペイン『プラド美術館』ピーテル・パウル・ルーベンス Peter Paul Rubens 主な作品解説

ピーテル・パウル・ルーベンス Peter Paul Rubens

1577-1640 フランドル  バロック

王の画家にして画家の王と呼ばれ、

諸外国までその名声を轟かせたバロック期を代表する画家。

修行時代に風景画家

フェルハーヒト、アダム・ファン・ノールト(ルーベンスの後に続く

フランドル絵画の巨匠ヤーコブ・ヨルダーンスの師であり義父でもある)、

ファン・フェーンと三人の師から絵画を学んだ後、

1600年から1608年までイタリアで、

ミケランジェロの肉体表現、

ラファエロやマンテーニャの古典思想的表現、

ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ等

ヴェネツィア派からの豊かな色彩による画面構成、

コレッジョからの甘美的表現など

ルネサンス芸術を研究する一方、

イエズス会とも接触を図る。

イタリアでの滞在で一気に才能が開花し、

社交性もあった画家はヴェネツィアの外交使節として、

名画を寄贈するためスペインへ向かうが、

途中大雨により名画を濡らしてしまう。

しかし画家自身がそれを修復。

その出来栄えの良さに

スペイン国王は勿論イタリアの貴族からも賛辞を受けた。

1608年、当時アントワープを統治していた

ハプスブルク家アルブレヒト大公夫妻に宮廷画家として仕え、

ヴァン・ダイク、ヤン・ブリューゲルらと共に次々と作品を制作してゆく。

総作品数は約1200点と膨大な数が残っているが、

大半は工房作品か他作家との共作。

ルーベンスの画家としての

優れた才能や洗練された友好的な態度によって

イザベラ大公妃を始め、

フランス王妃マリー・ド・メディシスやフェリペ四世など

当時の権力者とも交友関係を築き、

使節として国交の正常化に尽力を尽くすほか、

歳の離れたスペインバロックの巨匠ベラスケスとも交流を持つ。

またカラヴァッジョの『キリストの埋葬』(模写作品)や

ティツィアーノの『ヴィーナスへの捧げもの』(模写作品)、

レオナルド・ダ・ヴィンチの現在は失われた大作『アンギリアの戦い』など、

ルーベンス自らが描いた巨匠たちの模写も数多く残されている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


東方三博士の礼拝 (The Adoration of the Magi) 1609年

346×488cm  油彩・画布

プラド美術館(マドリッド)ビリヤヌエバ館 1階 Planta Primera  

初期ルーベンスにおける最高傑作のひとつで、

プラド美術館が所蔵する『東方三博士の礼拝』。

本作の主題は降誕したイエスと、

その礼拝に訪れる欧州、亜細亜、阿弗利加の三博士を描く

≪東方三博士の礼拝(マギの礼拝、三王の礼拝などとも呼ばれる)≫で、

豊かな色彩、ミケランジェロを思わせる劇的な肉体描写、

大人数による画面構成などの、

後に大作主義とも呼ばれた圧倒的な表現が示されている。

また本作はイタリアから帰国したルーベンスの最初の作品であり、

アントウェルペン市庁舎大会議室の装飾のために描かれたもので、

画面右部分の馬上の人物など、画家自身による加筆がなされている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


異教の供犠に対する聖体の秘蹟の勝利 1626年頃

(The Vivtory of the Euchaist Over Pagan Sacrifices)

86.5×106cm  油彩・板

プラド美術館(マドリッド) ビリヤヌエバ館 1階 Planta Primera  

ルーベンス工房が手がけたタピスリーの代表作

『異教の供犠に対する聖体の秘蹟の勝利』

本作はその下絵となる作品で、

この全11点から構成される連作≪聖体の勝利≫は

ルーベンスのよき友人であったイザベラ大公妃が

幼少期を過ごしたマドリッドの

クララ会修道院のために依頼したもので、

ルーベンスの下絵を工房で

原寸大へ拡大しタピスリーが制作された。

連作≪聖体の勝利≫は

異教や悪徳に対する信仰と教義の勝利を主題とし、

本作『異教の供犠に対する聖体の秘蹟の勝利』では、

聖杯を掲げた天使が異教徒と

その祭壇に捧げられる供物を退ける場面が描かれており、

画家らしい運動性に富んだダイナミックな構図と人物描写は、

古代・文明への博学を以って一層豊かに表現されている。

また連作≪聖体の勝利≫の左右は円柱(又は螺旋柱)で

挟み込む図像を取っているのが大きな特徴である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

三美神 (The Three Graces) 1630年代中頃

211×181cm   油彩・板

プラド美術館(マドリッド) ビリヤヌエバ館 1階 Planta Primera「29室」中央右下

ルーベンスが描く裸婦像の最も典型を為す代表的作品のひとつ『三美神』

本作の主題はルネサンスの巨匠ラファエロやボッティチェリの

≪春(ラ・プリマベーラ)≫でも描かれた、

古代より描かれ続けてきた

美と優雅の女神たちであるタレイア(花のさかり)、

エウプロシュネ(喜び)、

アグライア(輝く女)の≪三美神≫を描いたもので、

ルーベンスの裸婦像の大きな特徴である

豊満な肉体表現と輝く肌の質感は、

この古典的主題においても如何なく発揮されている。

またルーベンスは本作を生涯手放すことはなく、

没後におこなわれた競売で、

当時のスペイン国王フェリペ四世によって購入され、

現在はプラド美術館の所蔵となっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

愛の庭 -当世風社交- 1635年頃

(The Garden of Love 'Conversation a la mode')

198×283cm  油彩・画布

プラド美術館(マドリッド) ビリヤヌエバ館 1階 Planta Primera

ルーベンス晩年を代表する風俗画的作品『愛の庭』

画家の古い財産目録には『当世風社交』

若しくは『若い女性たちの会話』と記載されているも、

現在では愛の庭として名が知られている本作は、

フランドル地方で流行した上流社会の集いの場面を模して男女の、

とりわけ夫婦間における愛の姿を

神話的理想像を用いて表現したものである。

ジョルジョーネやティツィアーノなど

ヴェネツィア派の影響を強く感じさせる

神話的寓意の取り扱いについて、

特に本作では愛の象徴キューピッドが

手にする燃える松明や薔薇の花冠、

つがいで飛来する二羽の白い鳩や

孔雀が象徴する結婚(孔雀は結婚の女神ユノのアトリビュート)などに示されており、

画面左端ではキューピッドが若い男女を後押ししている。

本作のような晩年に手がけられた風俗画は

後世の画家たちに強く影響を与え、

特にヴァトーらによって確立された

ロココ美術における『雅宴画(フェート・ギャラント)』の

先駆となったことは最も重要な特筆すべき点のひとつである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


我が子を喰らうサトゥルヌス

(Saturno devorando a un hijo) 1635-1638年頃

180×87cm  油彩・画布

プラド美術館(マドリッド) ビリヤヌエバ館 1階 Planta Primera

バロック期を代表する巨匠ルーベンスが残す傑作的神話画

『我が子を喰らうサトゥルヌス』

スペイン国王フェリペ4世が営んでいた狩猟の為の

別館トーレ・デ・ラパラーダの装飾として描かれた本作の主題は、

天空神ウラノスと大地の女神ガイアの間に

生まれた6番目(末弟)の巨人族で、

ローマ神話の農耕神で土星の惑星神でもあるサトゥルヌスが

我が子のひとりによって王座から追放されるとの予言を受け、

次々と生まれてくる息子達を喰らう場面

≪我が子を喰らうサトゥルヌス≫を描いたもので、

ルーベンスの描き出すリアリズムに富んだ迫力と緊張感に溢れた

サトゥルヌス像は後世の画家に少なくない影響を与えており、

後に近代絵画の創始者の一人として知られる

ロマン主義の大画家フランシスコ・デ・ゴヤも

自宅の壁に描いた名高い連作≪黒い絵≫のひとつとして、

同主題≪我が子を喰らうサトゥルヌス≫を描いている。

ギリシア神話のクロノスと同一視されるサトゥルヌスという主題は

中世から様々な寓意的(又は哲学的)解釈がされており、

本作では祭暦を視覚的に具現化した姿によって示されている。

また本作の黒雲に乗る裸体のサトゥルヌス像は、

ルネサンス期最大の巨匠ミケランジェロによる最高傑作

『最後の審判』中の

自身の生皮を持つ聖バルトロマイからの影響が指摘されているほか、

バルトロメウス・スプランヘルの原画に基づく

ヘンドリク・ホルツィウスの銅版画の構図に関連されると考えられている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


農民の踊り (Peasant's Dance) 1635-1640年頃

73×106cm  油彩・板

プラド美術館(マドリッド) ビリヤヌエバ館 1階 Planta Primera

ルーベンス晩年の傑作『農民の踊り』

外交使節として多忙な日々を送ったルーベンスがその役割を終え、

エレーヌ・フールマンとの再婚の後に手にした幸福と安らぎの生活の中で

興味を持った風景や農民の生活が描かれた作品である

本作は、同じく画家随一の代表作の

『愛の庭 -当世風社交-』が描かれた

直後から制作されたと推測されている。

イタリア絵画風の古代的な田園風景の中で、

中央の巨木を中心に

複数人の男女が貧富の差なく楽しげに

生の喜びを満喫するかのように踊っている。

ここに描かれるのは

外交使節として多忙を極めたルーベンスが

抱いていた平和への切なる願望と、

逞しく生き生きとした農民(庶民)の

生活の態度への賞賛に他ならない。

うねりにも似た画家独自の激しい躍動感と

溢れるばかりの光と色彩に満ちた描写には、

他の作品同様ルーベンスの暗喩的な作意が感じられ、

本作ではそれが幸福と喜びという感情によって表現されている。

また本作には同朋であり

初期ネーデルランド絵画の大画家ピーテル・ブリューゲルによる

同名作品からの影響と参照も指摘されている。

「プラド美術館」にぽち押してネ右矢印にほんブログ村 旅行ブログ 世界遺産へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.10.09 08:43:30
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.