|
カテゴリ:美術館・博物館
ダリは1920年代には考えられないほどに緻密な作品を描くようになります。それには現実を正確に映し出すカメラを活用しています
ダリの『カメラを使った緻密な作品』 Salvador Dali(23歳〜24歳頃) Futile Efforts 1927-1928 『小さな遺骸たち(不毛な努力)』1927年〜1928年 『小さな燃え殻(セニシタス )』 板 油彩 63.0cmx47.0cm スペイン「国立ソフィア王妃芸術センター」所蔵。 サルバドール・ダリ Salvador Dali 1904年5月11日〜1989年1月23日(84歳没) スペイン、カタルーニヤ地方フィゲーラス出身。 シュルレアリスムの代表的な画家。 1920年代中頃から、 ダリは・・・ 「小さな写真機に宿る澄みきった客観性」 の時代の到来を叫び始める。 現実そのままの痕跡を残すことができ、 驚くほどの「正確さ」で物事を伝えられる フィルムというものに、 ダリは、大いなる可能性を感じたのだ 写真や映画表現に敏感だったダリは、 自身の芸術作品においても その技術を効果的に使用した。 『小さな遺骸たち』では カメラのクローズアップが使われている。 そこでは、 顕微鏡を覗いたような緻密さで人体が描かれており、 見苦しいシワが刻まれた胴や、 硬い毛が生えた肌が写し出されている。 自著の「写真、精神の純然たる創造」の中で、 写真の詩的な効果について触れているダリ。 そこでは、 ブルトンが自身の作品で探求している驚異を、 写真がどのようにもたらすかということについて書かれている。 「クローズアップ」と 「ちょっとした縮尺の変化が、 突飛な類似、 すなわち思いがけないアナロジー (をいかに引き起こすか)」 について、語ったダリは、別の評論では、 ラースロー・モホリ=ナギの著書から 「アフリカハゲコウの目」という写真をひとつの例に挙げている。 この素晴らしい作品の中には、 同時に複数の世界が存在する。 まるで溝の掘られた地表のように見える アフリカハゲコウのシワの寄った肌。 黒い瞳孔の奥には帽子を被った男の影が映り、 その背後には木立が姿を見せる。 アフリカハゲコウの目に投影された重層的な世界のように、 『小さな遺骸たち』では様々な現実の事物が、 「驚異的」な形で並列する。 もっとも、 こちらはかなり気味の悪い世界が描かれており、 断片的な胴の合成物や、 切断された頭部、 分解されていく動物と血の海は、 情緒不安定で偏執狂的な精神状態を連想させる。 (参考資料:芸術家たちの素顔2「僕はダリ」より) (写真撮影:ほしのきらり) ダリにぽち お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.19 00:10:11
コメント(0) | コメントを書く
[美術館・博物館] カテゴリの最新記事
|